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損害保険業界の動向と展望

(2024/04/26更新)

【目次】

■業界の概要
■市場の動向と展望
■損害保険業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図


■業界の概要

自動車保険・火災保険・新種保険が3本柱

損害保険はマリン分野(海上保険)と、それ以外のノンマリン分野に大別される。

かつての主流はマリン分野であったが、現在は社会環境の変化や自然災害の多発などから、自動車保険、火災保険、新種保険などのノンマリン分野が主流となっている。

新種保険では、賠償責任保険、動産総合保険、労働災害総合保険が堅調に推移している。構成比は小さいものの、ペット保険が急速に成長している。

最近では、サイバーリスク保険やドローン保険など、社会の変化に対応した新たな保険の開発が進んでいる。

国内市場は55社が担うも、3メガ損保のシェアが約90%

国内の損害保険業界は、保険自由化による競争激化から、2000年以降大規模な業界再編が進んだ。国内市場は損害保険会社34社、外国損害保険会社など21社、免許特定法人1社の計55社で構成される(金融庁「損害保険会社免許一覧」2024年4月現在)。

市場は3メガ損保グループ(東京海上グループ、MS&ADインシュアランスグループ、SOMPOグループ)が収入保険料で全体の9割 を占め、寡占状態にある。

気候変動による自然災害の増加が、収益を圧迫

地球規模での気候変動により、台風や水害などの自然災害による被害が増加。それに対する保険金の支払い増加が、損害保険会社の収益を圧迫している。

日本損害保険協会の「近年の風水害による支払い保険金調査結果(見込み含む)」 によると、風水害による支払保険金は、2018年度に1兆5,160億円 、2019年度に1兆721億円 と、近年では1兆円を超える年も出てきている。

自然災害リスクの拡大により、保険会社がリスク分散のために加入する「再保険」の保険料も高騰している。 こうした収益環境の悪化を受け、損害保険各社は、審査の厳格化や保険料の値上げを進めている。


■市場の動向と展望

2021年度の市場動向

元受正味保険料はコロナ反動と新種保険販売がけん引し微増

日本損害保険協会の発表によると、2021年度の元受正味保険料(保険契約者との直接の保険契約にかかる収入)は、9兆6,709億円(前年度比0.5%増)だった。

自動車保険が同0.7%増、海上・運送保険がコロナ禍による前年度の落ち込みからの反動で同12.8%増、新種保険は販売拡大で同3.6%増となった。

火災保険は2021年1月の保険料値上げによる効果はあったが、最終的に同0.3%減。自賠責保険は2021年4月の保険料値下げの影響で、同7.4%減となった。

元受正味保険金は、国内自然災害減少の効果により減少

保険金支払い支出に当たる元受正味保険金は、前年度比3.3%減の4兆9,375億円だった。

経済活動の回復により、海上保険は同3.8%増、運送保険は同41.2%増、自動車保険は同1.3%増となった。しかし、自然災害が前年度より減少したため火災保険の支払いが同9.9%減となり、全体では減少となった。

2022年度の市場動向

元受正味保険料は、火災保険の料金改定と新種保険がけん引し増加

日本損害保険協会の発表によると、2022年度の元受正味保険料は、前年度比3.0%増の9兆9,593億円となった。

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