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石油業界の動向と展望

(2023/11/29更新)

【目次】

■業界の概要
■市場の動向と展望
■石油開発業、石油元売り業、石油精製業の業績動向
■石油製品小売業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
■関連コンテンツ


■業界の概要

見出し国内石油需要の長期的な減少傾向続く

石油業界は、石油開発・石油元売り・石油精製・石油製品小売業で構成される。

国内では、人口減少や輸送機器の燃費性能向上に加えて、エコカーの普及や産業界の燃料転換など、2050年のカーボンニュートラルに向けた動きの中で、ガソリンをはじめとする石油製品需要は年1~2%台の緩やかな減少が続いている。

今後も長期的な需要減少傾向は避けられず、資本提携や経営統合による再編が進むとみられる。

給油所減少でSS過疎地が深刻化、セルフ給油所は増加

資源エネルギー庁によると、国内の給油所(SS)は2023年3月末時点で2万7,963給油所(前年同月末より512カ所減)。同時点で1,718市町村中、SSが3カ所以下の市町村は計358市町村(前年同月末より10自治体増)にのぼり、「SS過疎地」問題は深刻化している。

一方、石油情報センターによると、セルフ式給油所は2023年3月末時点では1万721カ所で、前年同月末から113カ所増と増加傾向が続いている。全国のSSのうちセルフ化率は38.3%で、都道府県別では最もセルフ化率が高いのは神奈川県の55.8%、最も低いのは秋田県の24.0%だった。


■市場の動向と展望

2021年度の市場動向

ロシア・ウクライナ情勢により、原油価格は年度末に急騰

2021年の原油価格は、4~6月に60ドル台後半(日本到着時、バレル当たり)で推移した。その後、産油国が新型コロナのデルタ株の感染拡大を懸念し、増産に慎重だったことで供給が停滞するなど、9〜10月は70ドル半ばとなった。

11月には、ワクチン接種率の世界的な上昇を背景に、経済活動が回復したことで需要が増加し、80ドルを超えた。2021年末からオミクロン株が世界的に拡大し、一時下落したものの、2022年2月末からのロシアのウクライナ侵攻にともなう原油の供給不足に対する懸念により、3月には92ドルに急騰した。

価格上昇抑制のため、ガソリン補助金開始

国内のレギュラーガソリン販売価格(全国平均)も2022年1月には170円を突破したことから、価格上昇を抑制するため、政府は石油元売り会社に補助金を支給する「燃料油価格激変緩和対策事業」を2022年1月27日に発動した。

2022年度の市場動向

ロシア産原油の禁輸合意など国際情勢受け、原油価格は大きく変動

ウクライナ情勢をめぐり、2022年5月にEUがロシア産原油の禁輸に合意し、6月には原油価格が高騰した。また、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどのOPEC非加盟産油国で構成する「OPECプラス」は、2022年11月から世界の原油供給量の2%に当たる日量200万バレルの減産を開始した。

下半期は、中国をはじめとする世界的な景気減速にともなう需要減少懸念から、原油価格は下落傾向で推移したものの、めまぐるしく変わる国際情勢の影響を受け原油価格は不安定な動きを見せた。

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