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医薬品業界の動向と展望

(2023/12/29更新)


【目次】

■業界の概要
■市場の動向と展望
■医薬品製造業の業績動向
■医薬品卸売業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図


■業界の概要

医療費抑制策で経営改革が急務、卸は大手4グループに集約化

医薬品業界は、医療費抑制策にともなう薬価制度の見直しに直面し経営改革が急がれる。医療費削減に向けた後発医薬品の使用も進み、国は数量ベースでのシェアを79%(2021年9月時点)から2023年度末までに全都道府県で80%以上を目指すという目標を掲げ、普及促進策を進めている。

医薬品卸は、業界再編で全国展開を図る大手4グループに集約され、日本医薬品卸売業連合会の会員数は2002年の175社から、69社(2023年12月1日現在)まで減少した。


■市場の動向と展望

2021年の市場動向

薬価の毎年改定で医療用医薬品の国内市場はマイナス成長

2021年の医薬品総生産金額は、前年比0.9%減の9兆1,801億円だった(厚生労働省「薬事工業生産動態統計調査)」。

医療用医薬品は2021年4月に実施された初の薬価の毎年改定(中間年改定)などの影響で前年比0.6%減の8兆4,310億円とマイナス成長となった。一般用医薬品も、新型コロナ感染予防対策の徹底で総合感冒薬などの需要が激減し、7,491億円(同4.7%減)と前年割れとなった。

後発品医薬品メーカーの不祥事相次ぎ、供給不足で市場混乱

2020年12月に、後発医薬品メーカーの小林化工(福井県あわら市)が製造した抗真菌剤への睡眠導入剤成分の混入により、240人以上に意識障害などの健康被害が発生。その後、他製品においても承認と異なる製造工程がとられるなど長期にわたる不正が発覚した。これにより同社は、2021年2月に福井県より業務停止処分を受けた(その後、2023年4月に廃業)。

さらに、2021年3月には後発品医薬品大手の日医工(富山県富山市)が、国が承認した工程とは異なる製造工程を10年以上前から続けていたとして富山県から業務停止処分を受けた。2021年に薬機法違反による行政処分を受けた後発医薬品メーカーは8社にのぼり、製品供給不足で市場は混乱した。

2022年の市場動向

抗がん剤や新型コロナ治療薬などが寄与し医療用医薬品は伸長

2022年の医薬品総生産金額は9兆9,819億円で、前年比8.7%増と回復傾向を見せた(厚生労働省「薬事工業生産動態統計調査」)。

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