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工作機械業界の動向と展望

(2023/12/27更新)


【目次】

■業界の概要
■市場の動向と展望
■工作機械製造業の業績動向
■切削工具製造業の業績動向
■工作機械卸売業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図


■業界の概要

工作機械需要は設備投資動向に大きく左右される

工作機械は「機械を作る機械」であることから「マザーマシン」とも呼ばれる。主な需要先として自動車・電機・産業機械などがある。

これらの設備投資動向に需要が左右されるため、景気の波に影響されやすく、2022年までの直近5年の市場規模は0.9~1.8兆円台の範囲で拡大と縮小を繰り返している。日本製の国際競争力は高く、国内の主要産業として位置付けられており、とくに高機能分野に強みを持つ。

超硬工具はメンテナンス需要があり、比較的安定

超硬工具とは、超硬合金を用いた切削工具や耐摩工具を指す。タングステンとコバルトの合金が主原料で、ダイヤモンドやセラミックをコーティングしたものが利用されている。

市場動向は需要先の設備投資に左右されるが、消耗品のため定期的なメンテナンス需要がある。


■市場の動向と展望

2021年の市場動向

受注は3年ぶりに1兆5,000億円超え。内需・外需ともV 字回復

日本工作機械工業会「工作機械主要統計」によると、2021年の工作機械受注総額は前年比70.9%増の1兆5,414億円だった。3年ぶりに1兆5,000億円を超え、2018年(1兆8157億円)に次ぐ史上2番目に多い受注額となった。新型コロナの影響からいち早く立ち直った中国向けが先行して回復し、3月以降は欧米や国内でも回復傾向が見られた。

内需は同57.3%増の5,103億2,400万円。上半期は新型コロナの影響から受注が低調だったが、下半期は補助金効果による受注の押し上げと経済活動の再開から需要が回復。半導体製造装置関連を中心に好調だった。

外需は同78.6%増の1兆311億円。アジアは中国・台湾・韓国が同7割以上の増加。欧州も各国高水準の中、イタリアが設備投資優遇措置や展示会の影響もあり同3.5倍と高伸長。北米も自動車・建設機械・航空機・半導体関連など幅広い業種で需要が回復した。

2022年の市場動向

景気の先行き不安感から年後半で失速も、内需、外需とも2ケタ増

日本工作機械工業会「工作機械主要統計」によると、2022年の工作機械受注総額は前年比14.2%増の1兆7,596億円。2年連続で2ケタ増となった。世界的な半導体市場の拡大にともなう半導体製造装置関連の需要が堅調だったことに加え、自動化投資や電気自動車(EV)関連の設備投資が受注を押し上げた。

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