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百貨店業界の動向と展望

(2023/08/10更新)

【目次】

■業界の概要
■市場の動向と展望
■百貨店の業績動向
■統計データ、関連法規・団体


■業界の概要

購買チャネル多様化やコロナ禍を経て、業界再編が進む

百貨店は、主要都市中心に展開する全国展開型百貨店と、地方都市を拠点とする地方百貨店とに大別される。

購買チャネルの多様化や人口減少で市場縮小が続く中、業界内では合従連衡が続いている。

2006年にそごうと西武百貨店がセブン&アイHD(7&i)傘下へ。2007年には大丸と松坂屋HDが統合してJ.フロントリテイリング(JFR)が発足した。

2008年には三越と伊勢丹が合併したほか、エイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)傘下の阪急と阪神両百貨店の合併が実現した。2009年2月に髙島屋とH2Oが資本提携、翌年3月には業務提携したほか、H2Oは2016年に7&iと業務提携した。

その後、髙島屋とH2Oが2022年11月に資本提携を解消、7&i はそごう・西武の全株式を米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループへ譲渡することを決定するなど、業界再編が続く。

近年は、都市部の再開発にともなう建て替えや大規模リニューアルが進む一方で、地方百貨店の閉店が続いている。


■市場の動向と展望

2021年度の市場動向

販売額は急落した前年度からは回復するも、コロナ前比較では依然大幅減

経済産業省の「商業動態統計調査」によると、2021年度の百貨店販売額は、全店ベースで前年度比8.9%増の4兆9,683億円。既存店ベースでも同10.1%増だった。

日本百貨店協会の「全国百貨店売上高概況」によると、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置など外出規制の影響を受けた2021年6・8・9月と2022年2月を除き、販売額は前年同月実績を上回った。

品目別では、前年度からほぼすべて増加に転じた。とくに寄与したのは貴金属や宝石など高額商品を含む「その他商品」や「身の回り品」、「婦人・子供服・洋品」。前年度からの反動増や、コロナ禍でコト消費に制約がある中でモノ消費へシフトした影響によるものと考えられる。

ただし、コロナ前の2019年度との比較では、販売額は17.7%の減少となっており、小幅な回復にとどまった。

2022年度の市場動向

個人消費やインバウンド回復で、百貨店販売額は2ケタ回復

経済産業省の「商業動態統計調査」によると、2022年度の百貨店販売額は、全店ベースで前年度比14.2%増の5兆6,738億円。既存店ベースでは同14.8%増と2ケタ増となり、コロナ前の2019年度と比較すると94%の水準まで戻った。

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