■業界の概要
■市場の動向と展望
■通信販売業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
通信販売業界は、対面販売ではなく、カタログ、テレビ、新聞・雑誌、インターネットなどを通じて商品やサービスを消費者に販売する産業を指す。これまで、各社の販売チャネルは明確に分かれていたが、近年は販売チャネルの垣根がなくなりつつある。テレビやカタログ、SNS、YouTube、ネット広告などで商品を知り、ECサイトやスマホアプリで購入するケースが増えており、「チャネル融合(オムニチャネル)」が主流となっている。
取り扱う商品は食品、衣料品、化粧品、健康食品、家具、家電など多岐にわたり、旅行予約や金融サービスなどの無形サービスも含まれる。また業界の特徴として、地理的制約を受けずに全国の消費者へ24時間受注が可能であること、顧客データを活用したマーケティングが行えることなどが挙げられる。
経済産業省によると、2024年の日本のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は約26.1兆円に達し、通信販売は国内消費流通の重要なチャネルへ拡大している。今後も、高齢化社会の進展や地方人口の減少、CtoC市場の成長などを背景に、通販需要は底堅く推移すると見られる。
市場の拡大が続く一方で、通販業界を取り巻く様々な課題が存在する。ドライバー不足や燃料価格の高騰を背景とした物流コストの上昇、さらに、即日配送や時間指定配送など消費者ニーズの高度化に対応する負担も増大している。
また、フィッシング詐欺やクレジットカードの不正利用に加え、年々高度化するサイバー攻撃への対策も重要性を増している。各社においては、本人認証システムや不正検知システムの導入、顧客情報の適切な管理など、継続的なセキュリティ投資が求められている。
さらに、EC事業者数の増加による顧客獲得競争の激化や、大手ECプラットフォーマーへの市場集中も課題である。加えて、環境負荷低減への社会的要請が高まる中、梱包資材の削減や配送効率の向上など、サステナビリティへの対応も不可欠となっている。
こうした課題に対し、物流面では物流拠点の新設や自動化設備の導入、外部物流企業との連携、通販事業者による共同配送センターの活用などが進められている。また、事業面では、顧客データを活用したCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)の強化や定期購入サービスの拡充などを通じて、他社との差別化が図られている。