■業界の概要
■市場の動向と展望
■倉庫業、港湾運送業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
倉庫業は、事業者が保有する倉庫において、他人から寄託を受けた物品を有償で保管する産業である。日本では「倉庫業法」に基づいて、営業倉庫として登録された事業者が対象となり、適正な保管を行うために各種規制が設けられている。例えば、倉庫の種類ごとに施設・設備基準が定められているほか、各倉庫には「倉庫管理主任者」の配置が義務付けられている。
倉庫は用途別に、一般貨物を扱う普通倉庫、食品等の温度管理を要する貨物を扱う冷蔵倉庫、原木など水中で保管する貨物を対象とする水面倉庫の大きく3種類に分類される。
近年では、多品種少量生産の進展やリードタイム短縮の要請、EC市場の拡大による小口配送の増加などを背景に、物流を取り巻く環境は大きく変化している。加えて、働き方改革や深刻な人手不足を起因として、荷主企業は物流機能の外部委託を進めており、倉庫業者には単なる保管にとどまらない付加価値サービスが求められている。
その結果、「倉庫」は在庫管理や流通加工(検品・梱包・ラベリング等)、配送支援などを含む総合物流サービスとしての性格を強めており、物流機能の中核としてサプライチェーンの一翼を担う存在となっている。
さらに、物流機能全体を一括して受託する3PL(サードパーティ・ロジスティクス)などのビジネスモデルの発展や、食品・医薬品などの品質維持に不可欠なコールドチェーン(低温物流)といった専門的機能の高度化によるサービスの多様化も進展している。
業界における課題として、燃料費の高止まりや人件費の高騰が続く中で、価格転嫁の難しさが挙げられる。帝国データバンク「価格転嫁に関する実態調査(2025年7月)」によると、運輸・倉庫業の価格転嫁率は28.8%と、全業種平均の39.4%を10.6ポイント下回っている(※価格転嫁率とは、コスト上昇分に対する販売価格への転嫁度合いを示す指標)。
また、業界全体においては人手不足および人材定着の困難さも大きな課題となっている。人手不足に対応するため、自動化・無人化の導入が進められているものの、倉庫では多種多様な貨物を取り扱う必要があり、定型化が難しい業務も多い。そのため、設備導入においては投資対効果の確保や採算性の見極めが課題となる。
さらに、脱炭素化に向けた取り組みが社会的責務となる中で、CO2排出量の可視化や再生可能エネルギーの活用、省エネルギー型設備への更新が求められているが、設備投資や運用コストの増加が企業の重荷となっているケースも見られる。