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旅客輸送業界の動向と展望

(2024/11/29更新)

【目次】

■業界の概要
■市場の動向と展望
■鉄道業の業績動向
■バス業、タクシー・ハイヤー業の業績動向
■航空旅客輸送業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
■関連コンテンツ

■業界の概要

コロナ禍で大打撃も、各交通機関の旅客数は回復へ

コロナ禍での外出自粛により、旅客輸送業界における各交通機関は大きな打撃を受けたが、2023年5月に新型コロナウイルスの感染法上の分類が5類へ移行したことにより、旅客数は回復傾向となっている。

一方で、少子高齢化や働き方改革による残業時間の上限規制が影響し、業界内では人手不足が深刻な課題となっている。そのような中、各交通機関では省力化や省人化を中心とした様々な取り組みが進んでいる。

鉄道業では、少子高齢化などによる利用者の減少で、存続か廃線かの岐路に立たされる地方鉄道なども少なくない。そのような中、各社は沿線の整備や活性化による集客力向上などに注力している。また人手不足対策として自動運転やワンマン運転の導入に向けた取り組みや、環境に配慮した省エネルギー車両の導も進んでいる。

バス業でも、乗務員不足解消に向けた自動運転バスの実用化が進む。また過疎地域では、地域住民の生活を支える移動手段として、自動運転バスが重要な役割を果たすだけでなく、路線維持にも貢献している。その他にも、バスロケーションシステムやICカード導入といった利便性や快適性の向上に向けた取り組みも加速している。

タクシー業では、ドライバーの高齢化や外国人観光客の増加にともなう需要の急増を背景に、ドライバーが不足。そのような中、2024年4月から東京などの一部地域において、「日本版ライドシェア(自家用車活用事業)」が開始した。また顧客獲得に向け、初乗り運賃の低額化や配車アプリなど利用者の拡大施策も行われている。

航空業は、新型コロナによる大打撃から回復しているものの、コロナ禍で離職者が増加したことによる人手不足や「航空業界の2030年問題」と言われるパイロット不足に対し、外国人雇用の促進や、航空会社独自のパイロット育成プログラムを展開している。また航空機による環境負荷の低減も課題となっており、官民による持続可能な航空燃料(SAF)の導入や航空機材・装備品等への新技術導入などが進んでいる。

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