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ホテル・旅館業界の動向と展望

(2023/10/27更新)

【目次】

■業界の概要
■市場の動向と展望
■ホテル・旅館業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
■関連コンテンツ


■業界の概要

多様な施設を提供し収益を最大化、今後は人手不足が課題

ホテル・旅館業界とは、利用者に対して宿泊用の客室を提供する業界の総称で、館内のレストランや結婚式場なども主な収益源となっている。ホテルの種類には、①出張などのビジネス関連の宿泊向けに作られた「ビジネスホテル」、②海やスキー場、テーマパークなどリゾート地近くに作られた「リゾートホテル」、③さまざまな目的での利用客を想定し、都心で快適に過ごすために作られた「シティホテル」などがある。

ホテル・旅館業界は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けた業界の1つだが、国のプロモーション施策が追い風となり回復傾向にあり、今後は慢性的な人手不足を解決するためのDX推進が重要な要素となってくる。

コロナ禍により、甚大な被害を受けて市場規模は半減

厚生労働省の「衛生行政報告例」によると2021年度末のホテル・旅館業の施設数は5万523施設、前年度末比0.4%減となった。

また、日本生産性本部の「レジャー白書2022」によると、ホテル・旅館の2021年の市場規模は、1兆6,120億円と前年比5.2%増も、コロナ禍前2019年の3兆210億円から半減の状況。内訳は、ホテルは9,360億円(同12.5%増)、旅館は6,760億円(同3.4%減)。


■市場の動向と展望

2021年の市場動向

年間延べ宿泊者数は、新型コロナ発生前の2019年より半減

観光庁「宿泊旅行統計調査」によると、2021年の延べ宿泊者数は、前年比4.2%減の3億1,777万人泊。内訳は、日本人延べ宿泊者数が同0.7%増の3億1,345万人泊、外国人延べ宿泊者数が同78.8%減の431万人泊となった。緊急事態宣言の複数回の発令や外出自粛により2年連続で減少し、新型コロナの発生前の2019年比では46.7%減にまで落ち込んだ。

緊急事態宣言明けで9月より大幅増加に

全地域の宣言が解除された2021年10月以降は、「Go To トラベル」キャンペーンなどが実施されたことで一時的に宿泊者数は回復傾向となった。

そのような中、日本政策金融公庫の「生活衛生関係営業の設備投資動向(2021年)」によると、2021年に設備投資を実施したホテル・旅館の割合は、前年比2.4ポイント増の59.9%であった。設備投資の総額は「1,000万円超」との回答が最多の31.2%、次いで「500万円超~1,000万円以下」が24.8%、それぞれ前年より8.7ポイント、12.1ポイント増加した。厳しい事業環境ながら、アフターコロナの宿泊需要増を見据え、設備投資に動く企業が増え始めた。

2022年の市場動向

国内延べ宿泊者数は、コロナ禍前の約9割近くまで回復

観光庁「宿泊旅行統計調査」によると、2022年の全国の延べ宿泊者数は、前年比で41.8%増の4億5,045万人泊。うち日本人延べ宿泊者数は、同38.4%増の4億3,396万人泊。コロナ禍前の2019年(4億8,026万人泊)の約9割まで回復した。

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