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旅行業界の動向と展望

(2026/08/31更新)

【目次】

■業界の概要
■市場の動向と展望
■旅行業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図

■業界の概要

旅行業者は登録制で、第1種~3種・地域限定などに区分される

旅行業は、報酬を得て、旅行者または運送・宿泊等のサービス提供者のために、旅行サービスの手配、代理・媒介・取次ぎ、企画旅行の実施、旅行相談などを事業として行う。

旅行業者の事業形態には、自社で旅行商品を企画・実施する事業者、他社が造成した旅行商品を受託販売する事業者、オンラインを主要な販売・予約チャネルとするOTA(Online Travel Agency)などがある。ただし、OTAは法令上の登録区分ではなく、実際の業務内容に応じて旅行業等の登録が必要となる。

旅行業者が旅行者と締結する旅行契約は、主に次の3類型に分けられる。

  • 募集型企画旅行:旅行業者が旅行内容を企画し、幅広く参加者を募集して実施する旅行
  • 受注型企画旅行:顧客の依頼を受けて、旅行業者が企画・実施する旅行
  • 手配旅行:旅行者からの依頼に基づき、宿泊施設や交通機関などの予約・手配を行う旅行

日本で旅行業を営むには登録が必要であり、取り扱う業務の範囲に応じて、第1種旅行業、第2種旅行業、第3種旅行業、地域限定旅行業に区分される。それぞれ登録行政庁、業務範囲、登録要件が異なる。

業務範囲の主な違いは、募集型企画旅行を企画・実施できる地域にある。第1種は海外・国内、第2種は国内の募集型企画旅行を取り扱うことができる。第3種は、営業所所在地の市町村、隣接市町村等の限定区域内で国内募集型企画旅行を実施でき、地域限定旅行業は、企画旅行や手配旅行等を原則として同様の限定区域内で取り扱う。なお、第2種・第3種でも、海外の受注型企画旅行や手配旅行を取り扱うことはできる。

このほか、特定の所属旅行業者から委託を受け、その委託範囲内で旅行業務を代理して取り扱う旅行業者代理業者や、旅行業者等から依頼を受け、主として国内における運送・宿泊や一定の有償通訳案内等の手配を行う旅行サービス手配業者、いわゆるランドオペレーターがある。

観光庁によると、2026年4月1日時点の旅行業者総数は前年比5.6%増の1万4,125社。営業資格別に見ると、第1~3種旅行業8,904社(同0.2%増)、着地型観光の販売を想定した地域限定旅行業者は870社(同11.0%増)、主に海外の旅行会社からの訪日旅行の手配を受ける旅行サービス手配業は3,901社(同20.3%増)と増加した。一方で、旅行業者から委託を受けて旅行商品を販売する旅行業者代理業は450社(同2.2%減)と減少した。

手配・販売以外の付加価値分野への事業拡大が進む

旅行業の主な収益源には、企画旅行の販売収入、宿泊・航空・鉄道・バス等の手配に係る取扱料金や販売手数料、法人の出張予約や精算、出張規定、危機管理等を一元的に管理するBTM(Business Travel Management:出張管理)サービスの提供収入、教育旅行・団体旅行の企画・運営収入、自治体観光事業やMICE運営等の受託事業収入などがある。

企画旅行では、旅行代金から運送・宿泊等の仕入原価を差し引いた差益が収益の基礎となる。商品によってばらつきはあるものの、航空券や宿泊施設等の仕入原価が旅行代金に占める割合が高く、価格競争の強い商品では十分な利益を確保しにくい。特に航空券の単体販売は利益率が低く、近年では法人向け出張管理サービス、修学旅行・団体旅行、MICE運営、地域観光事業の受託など、比較的付加価値を付けやすい分野への事業拡大が進んでいる。

予約手配型からの脱却を迫られる

旅行業界は、景気動向や為替変動、感染症、自然災害など、外部環境の影響を受けやすく、需要変動に対して脆弱な側面がある。

特に海外旅行市場は回復傾向にあるものの、円安、旅行費用の上昇、路線・地域による国際線供給の回復差などから、コロナ禍からの回復ペースは限定的である。国内旅行も宿泊費等の単価上昇が消費額を押し上げる一方、旅行者数やツアー参加者数が伸び悩めば、旅行会社の収益拡大には直結しにくい。

さらに、OTAや航空会社・宿泊施設の直接販売の拡大により、単純な予約・手配機能だけでは差別化が難しくなっている。従来型の旅行会社には、複雑な旅程設計、専門的な提案、緊急時対応、団体運営など、価格以外の価値提供が一層求められている。

また、インバウンドの増加にともなうオーバーツーリズム、貸切バスの運転手や通訳案内士などの旅行を支える人材の不足、法令対応、個人情報管理など、運営負荷も高まっている。

体験価値を重視する旅行需要が拡大

旅行業界では、インバウンド需要の拡大や旅行者の価値観の多様化を背景に、地域観光や体験型旅行への関心が高まっている。旅行者のニーズが多様化するなか、従来型のパッケージツアーに加え、個人の興味・関心に応じた目的型旅行であるSIT(Special Interest Tour)や、その地域ならではの体験を重視する旅行の存在感が高まっている。

これにともない、地域の食や食文化を楽しむ「ガストロノミーツーリズム(食文化観光)」や、自然環境の中でのアクティビティと地域文化との交流を組み合わせる「アドベンチャーツーリズム」などへの関心が高まっている。価格を重視する旅行需要が引き続き存在する一方、特定のテーマ、地域との交流、学び、特別感を重視し、質の高い体験に追加料金を支払う旅行者層もみられる。

また、自然・文化・地域住民の生活と観光を両立させるサステナブルツーリズムの考え方が、幅広い旅行商品や観光地経営に取り入れられている。

法人分野では、企業の出張、研修旅行、インセンティブツアーなどに対するニーズも高度化している。ワーケーション(Work+Vacation)やブレジャー(Business+Leisure)についても、新たな旅行スタイルとして、企業や地域による導入・受け入れの取り組みが進められている。

旅行会社は、単なる交通機関や宿泊施設の手配・販売にとどまらず、旅前・旅中・旅後を通じた体験価値を提供することで、リピート需要の獲得や収益機会の拡大を図っている。

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