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広告業界の動向と展望

(2023/12/27更新)

【目次】

■業界の概要
■市場の動向と展望
■広告業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図


■業界の概要

マスコミ4媒体の割合が低下。ネットが伸長しテレビを抜く

広告業とは、主として依頼人のために、広告に係る企画立案やコンテンツの作成、広告媒体選択などのサービスを提供し、新聞・テレビなど広告媒体のスペースまたは時間を広告媒体企業と契約し、依頼人のために広告する事業所をいう。

マスコミ媒体が広告枠を広告主に販売する際の仲介によって得る「手数料収入」と、広告主からの依頼に応じて広告物を制作することで得る「広告制作収入」が収益の中心。加えて、大手の総合広告会社は、顧客のマーケティングおよびプロモーション戦略の策定・推進なども手掛ける。

近年、広告におけるマスコミ4媒体(新聞・雑誌・テレビ・ラジオ)の売上高比率は低下し、代わってインターネット広告が拡大している。インターネット広告の売上高は2021年にテレビ広告のそれを上回り(経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」)、遠くない将来にマスコミ4媒体合計の売上高も逆転する見通しである。

インターネット広告が成長している要因としては、①メディア・商取引の場としてインターネットの存在感が高まっていること、②広告ターゲットの絞り込みや効果測定が行いやすいこと、③クリック数などの成果に応じて広告費が発生する運用型広告が主流のため、低コストで広告を出しやすく、広告主のすそ野を拡大したこと、などが挙げられる。


■市場の動向と展望

2021年の市場動向

コロナ禍の影響を脱し回復基調に。ネット広告と東京五輪などがけん引

2021年の広告業の売上高は前年比6.9%増の5兆7,315億円となり、同14.1%減だった2020年から回復基調に転じた(経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」)。

好調なネット広告と東京オリンピック・パラリンピックの開催、秋以降は音楽・スポーツイベントの開催制限やテーマパークの入場制限が緩和されたことが、市場を後押しした。

「巣ごもり需要」で物販のEC化率が上昇、ネット広告も大幅増

コロナ禍の影響で、外出せずに自宅で快適に過ごすことを重視した、いわゆる「巣ごもり需要」が喚起され、これにより物販におけるEC(電子商取引)化率(全取引に占めるEC取引の割合)が高まった。これを受け、2021年のインターネット広告費(旧:物販系ECプラットフォーム広告費)は、前年比21.4%増と大幅に増加した(電通「2021年 日本の広告費」)。

2022年の市場動向

テレビの反動減でマスコミ4媒体の売上高は減少、ネット広告は増加が続く

2022年の広告業の売上高合計は、前年比1.5%減の5兆6,687億円となった(経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」)。

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