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印刷業界の動向と展望

(2024/03/29更新)

【目次】

■業界の概要
■市場の動向と展望
■印刷業の業績動向
■印刷機械、印刷インキ製造業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図


■業界の概要

紙媒体から電子・情報処理の新分野へ事業拡大

印刷事業は顧客からの注文を受けて印刷物をつくる受注型製造業で、「商業印刷」、「包装印刷」、「出版印刷」、「事務用印刷」、「建装材印刷」など需要が多岐にわたる。業界大手は従来の紙媒体から電子・情報処理などの新分野へ事業領域を拡大している。

印刷市場は縮小傾向続く

デジタル化の進展にともないペーパレス化が進み、印刷媒体の市場は縮小傾向にある。

経済産業省の「生産動態統計調査」によると、印刷製品生産金額は2007年の約4,539億円から2020年には約3,465億円まで約23%落ち込んだ。その後3年連続で前年比増加し、2023年には約3,570億円に回復したものの、新型コロナ禍前の2019年の水準に達していない。この傾向は印刷機械や印刷インキの市場にも波及しており、業界環境は厳しい。

大手はデジタルメディアやエレクトロニクス関連など事業の多角化を進め、中堅・中小企業では事業統合の動きが見られる。印刷機械製造業や印刷インキ製造業は、高付加価値製品の開発に注力する。


■市場の動向と展望

2021年の市場動向

印刷製品生産金額は微増も、コロナ前の水準には戻らず

経済産業省の「生産動態統計調査」によると、2021年の印刷製品生産金額は3,500億2,700万円(前年比1.0%増)だった。

このうち、約35%を占める商業印刷は1,233億1,300万円で同1.8%増、包装印刷は軟包材を中心に需要が伸び846億9,700万円で同3.1%増となったが、全体としてコロナ前の2019年水準には戻らなかった。紙媒体需要の減少が続く出版印刷は、544億4,600万円で同5.8%減だった。

印刷関連機械・印刷インキも増加。海外市場が好調

同調査の印刷・製版・製本・紙工機械の2021年の生産金額は、海外市場の需要が回復し、前年比8.3%増の1,547億6,800万円だった。印刷インキの販売金額は、出版・包装・塗料など幅広い分野で、海外売り上げが堅調に推移、同1.9%増の2,696億1,000万円となった。

2022年の市場動向

印刷製品生産金額は微増、包装印刷は需要回復も出版印刷は依然減少

経済産業省の「生産動態統計調査」によると、2022年の印刷製品生産金額は前年比0.4%増の3,515億3,700万円だった。

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