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土木工事業界の動向と展望

(2023/09/04更新)

【目次】

■業界の概要
■市場の動向と展望
■土木工事業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図


■業界の概要

公共工事を主体とする収益構造

土木工事は、自然災害の防止や社会インフラ整備のための公共的な構造物を造り上げる工事を指す。代表的な例として、コンクリート、木材、土石を使用した、道路やトンネル、空港、鉄道、橋梁、ダムなどの建設や、ダム、鉄道、河川、上水・下水道、湾岸などの工事が挙げられる。

国内の土木投資額、元請け受注高の約7割が政府・公共機関から のものとなっており、公共工事への依存度が高い業界構造である。

高度成長期に整備されたインフラ設備は、建設後50年以上を経過し老朽化が進んでいる。今後はその更新工事や維持管理工事の需要が安定的に見込まれる。また近年は、地球規模での気候変動により、台風や水害などの自然災害による被害が増加しており、防災・減災に向けた工事や被害からの復旧工事が継続している

人手不足が課題に

建設業の就業者数は479万人(2022年)で、1997年の685万人からは約200万人減少 しており(総務省「労働力調査」)、高齢化・人手不足とそれによる労務費の増大が課題となっている。

業界では労働環境の改善などで人員確保を図るとともに、測量や設計・施工などのIT化・自動化にも取り組んでいる。


■市場の動向と展望

2021年度の市場動向

土木工事受注高・土木投資額はともに減少

2021年度の国内土木工事受注高は、前年度比4.1%減の30兆3,941億円だった(国土交通省「建設工事受注動態統計調査」 )。公共機関からの元請受注高が同8.9%減、民間等からの元請受注高も同3.5%減と、官民いずれの受注高も減少した。

2021年度の土木投資額は、前年度比2.6%減の24兆8,900億円と推計される(国土交通省「令和5年度 建設投資見通し」) 。民間土木投資額は同5.4%増、全体の約4分の3を占める政府土木投資額は同5.5%減となった。減少の主因は、政府からの東京オリンピック・パラリンピック関連投資がなくなったことが挙げられる。

2022年度の市場動向

公共投資の堅調と民間投資の回復で、受注高は増加に転じる

2022年度の国内土木工事の受注高は、前年度比2.5%増の31兆1,496億円だった(国土交通省「建設工事受注動態統計調査」 )。主力である公共機関からの元受受注高が同4.2%増の14兆5,713億円と堅調、民間等からの受注も同3.5%増の6兆4,325億円だった。

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