■業界の概要
■市場の動向と展望
■不動産管理・ビルメンテナンス業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
■関連コンテンツ
不動産管理業は、建物の所有者に代わって、賃貸運営や資産価値の維持・向上を担う事業である。具体的には、入居者募集や契約管理、家賃の集金、クレーム対応といった賃貸管理業務に加え、建物の清掃や修繕、設備管理などの建物管理業務を行う。建物の運営全般をサポートする総合サービス業としての性格が強い。
一方、ビルメンテナンス業は、建物の物理的な維持管理に特化したサービスを提供する。具体的には建物の共用部分やテナントスペースの清掃業務、空調、電気、給排水などの設備点検やメンテナンス、建物の老朽化に対応した修繕・改修工事、建物のセキュリティ管理、警備員の配置などが挙げられる。
不動産管理会社がビルメンテナンス機能を内製化しているケースも多く、両業界の事業領域は一部重複している。
管理対象は、マンション・アパート・一戸建てなどの賃貸住宅、ショッピングモールやオフィスビルなどの商業施設、ホテルなどの宿泊施設、学校・病院・図書館などの公共施設、高齢者施設や駐車場など多岐にわたる。そのため業界各社は、それぞれ特定の分野を強みとするケースが多い。
1970年に「建築物における衛生的環境の確保に関する法律(建築物衛生法)」が制定され、一定規模以上の建築物に対する衛生管理が整備されたことで、ビルメンテナンス業の専門化が進んだ。バブル崩壊後の1990年代以降は、不動産市場低迷や既存建築物の増加を背景に、新築中心から既存ストックの維持・有効活用へ政策や事業の重点が移り、不動産管理や施設保全の重要性が高まった。
その後、分譲マンションや賃貸住宅のストック増加、高齢化社会の進展、投資用不動産市場の拡大などを背景に、不動産管理会社の役割が大きく変化し、2021年には賃貸住宅管理業法が全面施行され、管理業務の適正化が進展した。
近年は、脱炭素化に向けたエネルギー管理システムや、遠隔管理システムやスマートロックなどの導入が進み、省人化や業務効率化などによる新たな需要の拡大が期待されている。
一方で、業界内では現場人材の高齢化が進み、若年層を中心とした人材確に加え、人件費高騰による収益の圧迫や、新規参入企業の増加による価格競争の激化など課題も多い。そのため、業界各社では、高付加価値サービスの提供、専門性の高い管理分野への注力などを通じ、競争力の強化を図っている。