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電気・通信工事業界の動向と展望

(2024/08/29更新)

【目次】

■業界の概要
■市場の動向と展望
■電気工事の業績動向
■通信工事の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図

■業界の概要

電気工事は3系列に大別、省エネや再生可能エネルギーの需要が増加

電気工事業は、建物や施設の電気設備において屋内配線や変電設備などの設置・修理・保守工事を手掛ける。参入企業はインフラ事業者や電機メーカーの系列企業が多く、電力系・電鉄系・その他に大別される。

省エネの促進や再生可能エネルギーの普及にともない、よりエネルギー効率の高い電気設備や照明設備への転換や、太陽光発電・風力発電開発などの電気工事の需要が増加している。

また、インテリジェントビルやスマートホームといった先進的な建築物の増加により、電気工事においても自動化技術の導入やIoT(モノのインターネット)への対応が求められている。

通信工事はモバイル関連需要がけん引、データセンター需要も伸長

通信工事業は、建物や施設における情報通信インフラの構築、保守、運用を専門とする産業である。主な業務には、有線通信ネットワーク(光ファイバーやメタル線)の敷設、無線基地局の設置・保守、データセンターの構築、通信設備の設計・施工・メンテナンスなどが含まれ、通信キャリア、インターネットサービスプロバイダ(ISP)、企業のIT部門、公共機関など、幅広い顧客層に対してサービスを提供している。

住宅への光ファイバー敷設はほぼ完了しているが、モバイル端末の普及によりモバイルネットワーク関連の工事需要が安定して発生するほか、クラウドサービスの利用拡大にともない、データセンターや通信ネットワークの整備も進んでいる。そのような中、通信工事におけるセキュリティ対策やデータ通信の安定性が重要視されている。

今後、技術開発の進展にともない、AI(人工知能)よるネットワーク構造変化や、自動運転実現に向けた通信ネットワークの構築などが想定され、需要増が期待される。

公共・民間の建設需要や設備投資動向の影響受ける

電気工事・通信工事ともに、公共工事の動向や企業の設備投資・建設住宅投資の動向が業況を左右する。電気・通信は、いずれも社会に不可欠なインフラ基盤であり、防災や災害対策の観点から、施設や通信設備の耐震性向上や災害時の通信インフラ整備などの災害対策も求められる。

近時は、建設資材の高騰や電気工事技術者の人手不足によるコスト増加、受注価格の下落などが課題となっている。

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