■業界の概要
■市場の動向と展望
■水産・水産加工業、水産卸売業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
■関連コンテンツ
水産業界は、水産物の採捕を行う「漁業」、人工的に繁殖させる「養殖業」、水産物を原料に缶詰・練り製品・冷凍食品など様々な食品を製造する「水産加工業」、これらの流通を担う「水産卸売業」で構成される。
水産物は鮮度維持のため冷蔵・冷凍状態で保管・輸送されることから、冷蔵倉庫業などの低温物流企業も、水産業に参入している。
島国である日本は豊かな水産資源に恵まれ、それらが食生活の中核を占めてきた。しかし近年は、気候変動や乱獲による水産資源の枯渇、それを受けての水産資源管理や諸外国との漁業協定により、日本の漁獲量は減少の一途にある。
漁獲量の減少を受けて、魚価は上昇傾向にある。加えて洋食化の進行や調理の簡便化ニーズ、若者の魚食離れなどにより、国内の1人当たりの魚介類消費量は年々減少している。
一方で、世界的な健康志向の高まりや日本食ブーム、新興国における所得向上や低温物流インフラの整備などにより、海外における魚食需要は高まっている。そのため水産大手は、輸出拡大や海外事業の強化を進めている。
そのような中、水産物の輸出額は、2012年の1,698億1,600万円から2022年は3,873億2,900万円へと、10年間で約2.3倍に拡大している。
一方、輸入額も増加傾向にある。遠洋漁業の縮小や高級魚需要の高まりにより魚種によっては自国漁獲だけでは需要を満たせなくなっていることや、海外養殖生産量の増加などが、その背景にある。
農林水産省の「漁業・養殖業生産統計」によると、2021年の漁業・養殖業生産量は前年比1.5%減の417万2,158トンだった。海面漁業の漁獲量は横ばいだったが、海面養殖業の収穫量が減少した。
総務省の「家計調査」によると、2021年の1世帯当たりの魚介類への支出金額(二人以上の世帯)は、前年比3.0%減(名目伸び率)の7万5,035円となった。
農林水産省の「農林水産物輸出入概況」によると、2021年の水産物輸入金額は、ロシアからの輸入増により、同10.0%増の1兆6,114億円となった。輸出金額は、中国や米国向けの増加により、同32.5%増の3,015億円となった。
農林水産省の「漁業・養殖業生産統計」によると、2022年の漁業・養殖業生産量は前年比7.5%減の385万8,600トンとなった。中でも、海面漁業の漁獲量が同9.4%減と大きく減少した。さけ類、かたくちいわし等が増加したものの、さば類、かつお等の漁獲量が減少した。