■業界の概要
■市場の動向と展望
■スポーツ用品製造・卸売業の業績動向
■スポーツ用品小売の業績動向
■統計データ、関連団体
■業界天気図
スポーツ用品業界は、運動競技や身体活動を支援するための製品を設計・製造・販売する産業領域を指す。対象となる製品は、競技用具(ボール、ラケット、バットなど)やスポーツウェア、スポーツシューズ、フィットネス機器、トレーニングアクセサリー、アウトドア用品のほか、サプリメントやケア用品などである。
業界の特徴として、「季節性」と「トレンド性」が強く、製品ライフサイクルが短い点が挙げられる。特定のスポーツのブームや国際大会(オリンピック、ワールドカップなど)、気候変動による天候や季節の不規則な変化、ファッション性の変化などが短期的な需要動向に大きく影響する。また、地域ごとのスポーツ人気や文化的な違いも需要に影響を与えることもある。
スポーツ用品メーカーは、国内市場の成熟化と少子化・人口減を背景に、頭打ち状態が続いている。そのため、東南アジアや南アジアなど、今後の人口増加と経済成長が見込まれる新興国市場へ進出する動きが活発化している。
国内企業では、グローバルブランド(NIKEやadidas、Under Armourなど)との競争激化や、海外製品の流入による価格競争などが大きな課題となっている。特にアパレルやシューズ分野では、低価格帯商品と高機能・高価格帯商品の二極化が進んでおり、ミドルレンジの製品が市場から淘汰される傾向にある。
このような状況下でメーカーの製品開発は、軽量素材や通気性、防水性、耐久性、スマート機能(心拍計測・姿勢解析など)といった機能性の高度化が進んでいる。また、企業や大学との産学連携も活発であり、技術革新や新素材の開発が進んでいる。
少子化・人口減を背景に、学校向け市場や競技用品市場は縮小が避けられず、国内市場は縮小傾向にある。若年層のスポーツ離れやコロナ禍後の運動習慣の変化も需要減少に拍車をかけている可能性がある。
しかし、健康を意識したライフスタイルを重視する健康志向が高まっており、スポーツと日常生活を融合する形で、フィットネス・アスレジャー分野への拡張が注目されている。また、高齢化社会が進む中、シニア向けの軽運動用品や介護予防と連動したトレーニング機器へのニーズが増加している。
さらに、デジタル技術の積極導入が進み、アウトドアやフィットネス、eスポーツ関連といった特定のセグメントにおいては市場の拡大が見込まれる。ウェアラブルデバイスやスマートフォンアプリを利用したトレーニング管理やコミュニティ形成も、消費者の関心を引いている。