■業界の概要
■市場の動向と展望
■住宅(戸建て)の業績動向
■住宅(マンション)業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
住宅業界は、戸建て住宅(分譲住宅、注文住宅)やマンションの設計、建築、販売などを担う。賃貸管理や不動産仲介業、住宅設備メーカー、住宅ローンや火災保険などの金融・保険サービスなど関連する業界のすそ野は広い。
また、住宅需要が家電や家具、通信インフラなどにも影響を与え、住宅ローン減税やZEH(ゼロエネルギーハウス)補助金、長期優良住宅に係わる認定制度など、政府による支援策とも密接に関係している。
2025年4月には、「改正建築物省エネ法・建築基準法」(2022年6月公布)が全面施行され、原則すべての新築住宅・非住宅について、省エネ基準への適合が義務化された。改正法により、住宅・建築物の省エネ対策が強化されることで、持続可能な社会構築に寄与することが期待されている。
一方、業界では改正法の新基準に対応するため、新技術の開発や業界全体での協業も進む。スマートフォーム技術の導入やIoT(Internet of Things)の普及により、スマートロック、スマート照明、エネルギー管理システムなどが実現され、住宅の快適性や安全性、利便性、エネルギー効果が大幅に向上している。
国内の人口減少などを背景に、2024年の新設住宅着工戸数は79万2,098戸となり、1996年の164万3,266戸から半減している。また、2024年の新築分譲マンションの発売戸数は5万9,467戸で、2015年の7万8,089戸から23.8%減少している。
このように新築市場が減少する一方で、中古住宅・リノベーション市場が拡大傾向にある。人口減少による空き家住宅の増加も課題となっており、政府は「長期優良住宅化リフォーム推進事業」などにより、既存住宅の性能向上や子育てしやすい環境等の整備に資する優良なリフォームを支援し、良質なストック型住宅の形成を後押ししている。
長期的には、人口減少により市場縮小が予想される中、業界はかつての量産型住宅から、持続可能な住宅、住宅の再生へと転換期を迎えている。