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ガス業界の動向と展望

(2025/09/30更新)

【目次】

■業界の概要
■市場の動向と展望
■ガス業の業績動向
■関連法規・団体
■業界天気図

■業界の概要

ガス小売り全面自由化で業界構造に変化

ガス事業はガス事業法で規定されている。1995年以降の規制緩和により、大口需要家向けの天然ガス販売から販売自由化が順次進められた。2017年4月には都市ガス小売事業への新規参入が全面自由化され、事業者数は増加傾向をたどり一般ガス導管事業者数は189事業者(2025年4月時点)となっている。

都市ガスの供給可能区域は国土の6%で、導管網は人口密度や産業集積度が高い都市部を中心に整備されている。経済産業省によると、総需要家数は約2,842万件(2024年12月時点)で、市場規模は約3.9兆円(2024年実績)である。

販売自由化が進む中で、ガス導管事業の中立性と透明性の確保を図るため、2022年4月には東京瓦斯・大阪瓦斯・東邦瓦斯の大手3社で、それぞれ導管部門の法的分離が実施された。

「ガス事業便覧」によると、都市ガス会社の販売ガス量はトップが東京瓦斯、次いで大阪瓦斯、東邦瓦斯、西部ガス。こうした大都市圏で供給する大手ガスのほかに、小規模な地方都市ガス会社が供給している。

電力・ガス小売り自由化で、ガス小売り事業者が電力小売りに参入する一方で、電力会社も都市ガス事業に参入しており、双方で電気とのセット販売も活発化し、競争が激化している。

用途別で最も需要が大きい工業部門では、省エネ設備の導入や効率化が進み、ガス使用量が抑制される傾向にある。また。一部の工場では、LPガスや都市ガスから電力や再生可能エネルギーへの燃料転換が進行しており、工業用の販売量は減少傾向を見せている。

2030年には、都市ガスの1%をクリーンガスへ

2025年2月に国が公表した「7次エネルギー基本計画」では、天然ガスは化石燃料の中で温室効果ガスの排出が最も少なく、再生可能エネルギーの調整電源の中心的な役割を果たすと同時に、燃料転換などを通じた天然ガスシフトが進むことで環境負荷低減にも寄与するとされ、カーボンニュートラル実現後も重要なエネルギーとして位置づけられている。

また、合成メタン(e-メタン)も「次世代エネルギー」や「カーボンニュートラル化の鍵となるエネルギー」として位置づけられ、2030年には都市ガスの1%をe-メタン・バイオガスに置き換える目標が明記されている。

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