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産業機械業界の動向と展望

(2024/01/30更新)

【目次】

■業界の概要
■市場の動向と展望
■産業機械製造業の業績動向
■産業機械卸売業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図


■業界の概要

企業の設備投資が業況を左右

産業機械とは各産業分野の工場や事業所において使われる設備機械のことで、大型機械、動力伝導装置、環境装置などの専門機械を指す。具体的な機種としてはボイラ・原動機、化学機械、タンク、プラスチック加工機械、ポンプ、変速機、冷凍機械などがある。

多品種少量生産の典型的な受注産業で、需要は企業の設備投資意欲に大きく依存する。そのため業況は、国内外の景気動向に左右されやすい。

参入企業には、造船・重電機器・重機械・鉄鋼などと兼業する大手メーカーと、特定分野に特化した専門装置を扱う専業メーカーが混在する。後者にはその分野で世界トップレベルの企業も多く、国際競争力は高い。国内市場が成熟する中、各社は海外展開を強化している。

脱炭素、省人化、AI活用がポイントに

脱炭素社会の実現に向け、より効率的な発電装置や、再生可能エネルギーを有効活用するための送・配電網の必要性が高まっている。そのような中、重電機器(発・送・変電装置)メーカーの果たす役割が大きくなっている。

人手不足・人件費高騰を受けた、産業用ロボットによる製造現場の省人化ニーズも旺盛。近年はAIによって自動化できる業務範囲が拡大しており、AI活用が製品の競争力を左右しそうだ。


■市場の動向と展望

2021年度の市場動向

産業機械受注額は前年度を下回る。内需は増加するも、外需は減少

日本産業機械工業会の発表によると、2021年度の産業機械受注額は前年度比1.6%減の4兆9,494億円で、2年ぶりに減少した。内外需別で見ると、内需は同7.8%増の3兆3,332億円、外需は同16.7%減の1兆6,162億円となった。

内需は、非製造業が電力業向けの減少により同6.0%減であったものの、製造業向けが同25.3%の増加であった。一方、外需の減少は、前期の中東の大型プラント受注の反動減による影響が大きかった。

機種別では、鉱山機械、化学機械および送風機は減少したが、その他の機種は前年度を上回る状況であった。また、地域別輸出契約高では中東とロシア・東欧を除くすべての地域で前年度を上回った。

2022年度の市場動向

産業機械受注額、外需を中心に伸長

日本産業機械工業会の発表によると、2022年度の産業機械受注額は、前年度比6.4%増の5兆2,652億円と増加に転じた。内外需別では、内需が同2.5%増の3兆4,168億円、外需が同14.4%増の1兆8,485億円と、外需の伸びが大きかった。

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