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造船業界の動向と展望

(2025/10/31更新)

【目次】

■業界の概要
■市場の動向と展望
■造船業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
■関連コンテンツ

■業界の概要

かつては世界トップシェアも、韓国・中国の台頭で競争激化

造船業とは、貨物船・タンカー・コンテナ船・LNG船などの新造船の設計・建造を行う産業である。またこれらに付随する舶用機器や艤装、修繕・改造、部品供給・アフターサービスなども含まれる。

さらに、造船業は海運業と密接に繋がっており、受注は船主の発注動向や国際貨物市況などに強く影響される。また、資本投入・設備投資の回収には長期のリードタイムと受注の安定性が必要であり、為替や金融環境、政府の支援政策も収益性に影響を与える。

明治時代に国家主導の造船所設立が進み、戦後の急速な技術革新と世界的な船舶需要の増加を追い風に、1960年~1970年代にかけて、日本の造船業は世界市場でトップシェアを占めていた。しかし1990年代以降は中国や韓国が台頭し、2024年の造船竣工量シェアは1位が中国(54.7%)、2位が韓国(28.2%)、3位が日本(12.6%)となっている。

供給能力過剰が続いたことによる船価の低水準に加えて、鋼材価格や人件費の上昇などにより、取り巻く環境は厳しい。そのような中、企業間の経営統合が進行している。

新燃料船への代替建造が加速

国際海運は世界全体のCO2排出量の約2.0%を占めており、IMO(国際海事機関)は「2050年頃までに国際海運からの温室効果ガス(GHG)排出量実質ゼロ」の目標を採択した(2023年7月)。国内でも、脱炭素化に向けたゼロエミッション船(LNG代替燃料、アンモニア、電動化等)や省エネ技術による高付加価値船の供給が求められており、新燃料船への代替建造が急速に進むと見られる。

ゼロエミッション船の安定的な供給に向け、舶用機器メーカーでは、エンジン、燃料タンク、燃料供給システムなどの生産基盤を構築するとともに、これらの設備搭載に必要な設備整備も進む。

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