■業界の概要
■市場の動向と展望
■コンビニエンスストアの業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
コンビニエンスストアは、主に24時間・年中無休で営業を行い、食料品や飲料・日用雑貨・雑誌などの販売のほか、ATMの設置や公共料金の収入代行、チケット発行、宅配便の取り扱いなど、さまざまなサービスを提供している。
顧客の獲得競争が激化する中、コンビニ各社が独自で企画・開発し販売するプライベート(PB)商品の拡充も進んでいる。PB商品は利益率が高く、消費者ニーズに合った商品開発や独自サービスの展開が可能になる。近年では、ファミリーマートの「コンビニエンスウェア」がヒットし話題になった。
経済産業省「商業動態統計調査」によると、国内のコンビニエンスストア店舗数は、2025年3月末時点で5万6,527店舗だった。1980年代に急拡大したコンビニエンスストアだが、業界内競争は激化し、現在は、セブン―イレブン、ファミリーマート、ローソンの大手3社による寡占状態が続いている。
またコロナ禍における社会生活の変化などを背景に、大手各社は弁当・惣菜の需要増加への対応や地域密着型サービスを強化するなど、大量出店から既存店の安定化を進めており、国内店舗数は横ばい傾向で推移している。
一方、小売業界全体で労働力が不足する中、特にコンビニエンスストアでは24時間営業やサービスの多様化にともなう業務量の増加などを背景に、店員の人手不足が深刻化している。そのような中、営業時間の短縮やセルフレジの導入、自動発注システムの導入などによる業務効率化や省人化対策が進む。
大手コンビニ各社は全国の自治体と「地域包括連携協定」や「災害時支援協定」の締結を進めている。また地元の青果・野菜の販売や地元で人気の店とコラボ商品を展開するなど 、地域密着を進めることで、地域経済の活性化にも貢献している。
地震や台風などの災害発生時には、営業の継続や早期に営業再開することで、地域住民のライフライン維持を担う。また自治体との提携のもと、大規模災害時の帰宅困難者に対しては、水道水やトイレ、安全な帰宅ルートに関する情報、休憩場所などを提供する「災害時帰宅ステーション」として機能するなど、コンビニエンスストアが社会・生活インフラとして果たす役割は大きい。