国内景気の実態把握を目的として、2002年5月から調査を開始したTDB景気動向調査。現在、日本全体、全国10地域、47都道府県に関して景気DIなどの指標を公表している。
圏域別景気DIは、企業が実感する地域の景況感により近づけるため、地域の経済的なつながりや交通網などを考慮し、全国47都道府県を130の圏域に分割して算出している。
ここでは、「熊本県」の圏域別の動向を見ていく。
熊本県を「熊本中央圏」「熊本県北圏」「県南・天草圏」の3つの圏域に分けて、圏域別の特徴を取り上げる。
熊本県は、九州の中央に位置し、県内を九州縦貫自動車道、九州中央自動車道が通るなど九州の交通の要衝である。また港湾の数は大小合わせ54港にのぼり、都道府県別で上位に位置する。なかでも国際クルーズ船の受入れ拠点でもある八代港は、世界屈指のハブ港・韓国の釜山港や台湾との国際定期コンテナ航路が運航し、木材や飼料の輸出入が盛ん。こうした立地優位性から、半導体や自動車関連の産業集積が進んでおり、同関連産業の製造品出荷額等は、県全体の約3割を占める。
景気D I(下図)では、「県南・天草圏」が県全体を大きく上回る一方、「熊本県北圏」は低水準で推移しており、両圏の格差は2019年以降で最大に。年商ランキング上位50社をみると、「熊本中央圏」の企業が36社、以下「県南・天草圏」は6社、「熊本県北圏」が8社と続いた。