■業界の概要
■市場の動向と展望
■住宅設備機器製造業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
住宅設備機器業は、住宅で使用するキッチンやバス、トイレ、給湯器、窓、ドアなど設備機器の製造、販売、施工を行う。これらの機器は、日常生活を支える基本的なインフラであると同時に、住宅の機能性や快適性を向上させる役目を担う。
近年ではデザイン性の進化に加え、省エネ性能や断熱性、IoT対応など、技術革新が求められる中、シナジー効果の創出や開発スピード、商品力強化を目的とした経営統合や提携が進み、LIXILやTOTO、YKK AP、三協立山など大手企業による業界の寡占化傾向が強まっている。
住宅設備機器は、消費者にとって高価であるため、製品の性能だけでなく品質保証やアフターサービスも重視される。メーカーは、信頼性の高い製品を提供するのと同時に、多様化するニーズに対応した製品展開や顧客満足度を高めるサービスの提供が求められている。
国内では、人口減少や少子高齢化を背景に新設住宅の着工戸数が減少しており、業界にとってはマイナス要因と言える。一方で、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」や「住宅省エネ2025キャンペーン」による子育てグリーン住宅支援事業、先進的窓リノベ2025事業、給湯省エネ2025事業、賃貸集合給湯省エネ2025事業の4事業のほか、地方自治体による空き家利活用など、政府による補助金や減税措置などの支援措置がリフォーム市場を活性化させており、追い風となっている。
また、長期的には市場縮小が予想される中、業界各社は成長を支える重要な戦略として、海外展開も加速している。
2024年8月にリンナイの豪州子会社が、同国で家庭用エネルギー製品販売を行うSmart Energy Groupを買収。9月にYKK APは中国国内の事業拡大に向け、中国・江蘇省南通市にアルミ形材製造拠点「YKK AP江蘇社」を設立した。2025年4月には、 LIXILが北米地域における浴槽事業の強化を目的に、米国子会社を通じて、同国の浴室用品メーカーであるAmerican Bath Groupと戦略的パートナーシップを締結している。