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食肉加工業界の動向と展望

(2026/02/27更新)

【目次】

■業界の概要
■市場の動向と展望
■食肉加工業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
■関連コンテンツ

■業界の概要

ライフスタイルや消費者志向の多様化により、需要は底固く推移

食肉加工業界は、牛肉、豚肉、鶏肉などの肉類を原料に、ハム・プレスハム・ソーセージ・ベーコンなどの加工品を製造する産業である。原料である生肉を塩蔵、燻製、加熱、発酵といった加工技術によって処理することで、保存性の向上だけでなく、風味の付与や食感改良といった付加価値を実現している。

供給面では、原材料となる生肉の多くを輸入に依存しており、為替変動や国際的な需給状況の影響を受けやすい構造にある。

加工肉製品は家庭用だけでなく、外食・中食向けなど広範に供給されることから、食品産業バリューチェーンの中核的役割を担っている。国内では、西洋食文化の浸透や戦後の食生活の変化により肉類消費が拡大し、ハムやソーセージは一般家庭に広く定着した。近年では、少子高齢化や人口減少などを背景に国内の食品市場は縮小傾向にあり、食肉加工品の生産量も減少傾向で推移している。

そのような中、共働き世帯の増加やライフスタイルの多様化にともない、簡便で即食性の高い加工肉へのニーズは高まっている。

さらに、消費者の健康志向が強まる中で、低塩、低脂肪、無添加などの健康配慮型加工肉への需要が増加しており、企業はこうした新商品開発を強化している。また、包装技術や冷凍技術の進展により品質保持能力が向上し、物流面でも効率性改善が進む。加えて、EC市場の拡大により地域限定商品や高付加価値商品の販売チャネルが広がり、新たな需要創出にもつながっている。

為替動向や家畜伝染病はリスク、付加価値創出型の製品開発力を強化

業界が直面する課題として、原材料の輸入依存度が高いため、近年の円安基調が調達コストを押し上げている点がある。価格転嫁が困難な局面では収益を圧迫する要因となっている。さらに、鳥インフルエンザをはじめとする家畜伝染病の流行は、原材料価格の急騰や供給不安を招き、経営リスクとして常に存在する。

こうした環境の中、業界内の競争は一段と激化しており、企業各社は健康志向・利便性・多様な嗜好といった消費者ニーズの変化に対応した差別化が求められている。今後は、付加価値創出型の製品開発力やサプライチェーン強化、オンライン販売戦略の高度化が企業競争力を左右するとみられる。

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