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加工食品業界の動向と展望

(2025/11/28更新)

【目次】

■業界の概要
■市場の動向と展望
■製粉業、調味料・食用油製造業の業績動向
■冷凍・チルド・インスタント食品製造業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
■関連コンテンツ

■業界の概要

市場環境の変化に迅速対応、原材料調達から流通まで担う

加工食品業は農畜水産物を加工し、栄養素の量や品質を保持しつつ、嗜好性や調理の簡便性などを高めた食品を製造・販売する。加工食品には調味料製品、プレミックス(調整粉)、即席めん、レトルト食品、冷凍食品、乳製品、菓子など多種多様な製品群が含まれる。

加工段階は大きく3つに分けられる。一次加工食品は農畜水産物の原料を大きく変えずに素材の性質を活かして加工した食品で、精米、小麦粉、牛乳、味噌、漬物などが主な商品となる。

二次加工食品は一次加工食品を1~2種類以上使用し加工したもので、パン、製麺、マーガリン、マヨネーズ、ソースなどが該当する。

三次加工食品は一次加工食品や二次加工食品を2種類以上組み合わせて加工した食品。冷凍食品、レトルト食品などが挙げられる。

近年では健康志向や食の安全などに対する消費者意識の高まりだけでなく、ライフスタイルの変化にともない、機能性や簡便性、個食に特化した商品などが増加している。多様化するニーズに対応した商品開発力が求められており、企業間競争が激化している。

社会的課題である「食品ロス」への取り組みが加速

業界では、原材料を輸入に頼っている企業が多いため、国際情勢による為替変動や価格高騰などが課題となる。また環境意識が高まる中、食品ロスも重要な経営課題となっている。食品ロス対策は、環境負荷の低減だけでなく企業イメージの向上やESG経営に繋がることから、以下のような取り組みが加速している。

  1. 賞味期限の見直し:「消費期限」と「賞味期限」の違いを明確化、賞味期限の延長
  2. 製造・流通の効率化:需要予測の精度向上、AIによる在庫管理導入による過剰生産の減少
  3. フードシェアリング・寄付:賞味期限が近い商品の福祉施設やフードバンクへの寄付
  4. 消費者への啓発:「てまえどり(手前取り)」運動など
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