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ゴム製品・タイヤ業界の動向と展望

(2024/09/30更新)

【目次】

■業界の概要
■市場の動向と展望
■タイヤ、ゴム製品、合成ゴム製造業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図

■業界の概要

タイヤを中心に自動車産業、建設、消費財など用途は多岐にわたる

ゴム製品・タイヤ業界は、自動車産業を中心に、多岐にわたる製品を提供している。販売額の大部分を自動車用タイヤが占め、エンジン周りの耐熱性ゴムや防振部品・ホース類など、自動車産業との関連が深い。このほか、工業、建設・土木、電気・電子機器、医療、家庭日用品をはじめとする消費財など、さまざまな産業や用途で利用されている。

ゴム製品の主要な原料は「天然ゴム」と「合成ゴム」で、天然ゴムは主に熱帯地域で栽培され、合成ゴムは石油や石油化学製品を主要な原材料として製造される。

ゴム製品は、製造方法が多様であり、各方法で製造されるゴムの特性は異なる。合成ゴムは、生成されたポリマーと各種添加剤を混練し、耐油性、耐熱性、耐薬品性、弾性など用途に応じてさまざまな特性を持たせることができる。石油化学製品として、原油価格の変動が合成ゴムの製造コストに影響するため、価格の安定化や代替原料の模索が課題となっている。

ゴム製品・タイヤ業界は、環境負荷が大きい産業であるため、廃棄物処理やリサイクル、環境負荷の低減への取り組みが求められている。環境意識の高まりに対応するため、バイオベースの合成ゴムやリサイクル可能な製品の研究開発が進められている。

タイヤ市場はEV普及で性能ニーズに変化、環境対応求められる

タイヤ市場は、自動車タイヤ、産業車両・建設車両用タイヤ、二輪自動車用タイヤのほか、農業機械用、航空機用、自転車用タイヤなどを扱い、新車装着用(Original Equipment Tire:OEタイヤ)と交換用(リプレイス)がある。

世界のタイヤ市場では、ミシュラン(仏)、ブリヂストン(日本)、グッドイヤー(米)、コンチネンタル(独)が上位を占めるが、近年は韓国・中国などのメーカーの台頭により、大手のシェアは徐々に低下している。メーカーの収益は、自動車販売台数、ゴムや石油化学製品などの原材料価格、為替レート、気候変動(冬用タイヤの需要)などの影響を受ける。

自動車産業の成長とともに、タイヤの需要も増加し、燃費効率や耐久性、対摩耗性、グリップ性能などの向上が進められてきた。近年は、電気自動車(EV)や自動運転車などの新型車の技術進化や普及にともない、要求される性能が変化しており、騒音低減や低抵抗、車両の重量化にともなう耐久性向上などのニーズが高まっている。

また、IoT(モノのインターネット化)技術の導入により、タイヤにセンサーを組み込みリアルタイムでデータを収集し、遠隔でモニタリングすることでタイヤの状態や走行状況を把握する「スマートタイヤ」の開発が進められている。

環境規制の厳格化ととともに、特に使用済タイヤの適切な処理やリサイクルが課題となっており、メーカー各社にはCO2排出量削減やリサイクル率向上が求められている。また、再生可能素材や環境に配慮した製品への需要が増加しており、メーカーもそうしたニーズに対応する製品開発に注力している。

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