■業界の概要
■市場の動向と展望
■介護サービス業、有料老人ホーム業の業績動向
■福祉用具製造業、同レンタル・販売業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
「令和7年版高齢社会白書」(厚生労働省)によると、総人口に占める65歳以上人口(3,624万人)の割合(高齢化率)は29.3%(2024年)。都道府県別では最も高い秋田県で39.5%、最も低い東京都で22.7%となっている。また、後期高齢者(75歳以上)は2,078万人と総人口の16.8%を占め、前年(2,008万人、16.1%)から、70万人増加した。
今後さらに高齢化率は上昇し、2037(令和19)年には33.3%となり、国民の3人に1人が65歳以上の者となると見込まれている。
将来的には、2050(令和32)年に最も高い秋田県で49.9%、最も低い東京都で29.6%に達すると見込まれ、大都市圏を含めて全国的な広がりが想定される。
平均寿命も、2050年には男性84.45年、女性90.50年に達すると推計されている。
こうした高齢化の加速、人口構造の変化により、長期的にも介護需要は増え続けることが確実であり、介護体制の強化や生産性向上は不可避の課題となっている。
高齢化にともなって増え続ける介護の負担を社会全体で支えるための公的保険制度として、「介護保険制度」が2000年に導入された。介護が必要になった国民(要支援・要介護)に対し、介護サービス費用の一部を公的保険で給付する仕組みである。
介護保険の加入者(被保険者)は40歳以上の国民で、第1号被保険者(65歳以上、要介護・要支援の認定を受ければ理由を問わず利用可能)と、第2号被保険者(40~64歳、加齢による特定疾病が原因で介護が必要な場合に利用可能)の2種類に分かれる。
介護サービスは、要介護認定者向けの「施設」「居宅」「地域密着型」の3つの分類に加えて、2017年から要支援者向けのサービスとして「介護予防・日常生活支援総合事業」が開始された。介護保険制度の導入以降、介護サービス市場は急速に拡大しており、利用者数は制度創設時の3.6倍となっている。
民間企業が参入可能な形態は、有料老人ホーム、サービス付高齢者向け住宅、訪問介護、通所介護、配食サービス、介護・福祉機器販売・レンタルなどがある。
介護報酬は3年ごとに見直され、介護関連事業者の収入に影響する。
高齢化率の上昇とともに、医療、福祉、介護などの専門家が連携し居住エリアで高齢者の生活をサポートする「地域包括ケアシステム」推進や、自立支援や介護予防が重視されている。
介護業界では慢性的な人手不足が続いており、国の推計では2026年度に必要な介護職員は約240万人であり、2022年度比で約25万人不足している。団塊の世代が75歳以上となる2025年以降の介護需要増加を見据え、介護人材の確保・育成は最大かつ喫緊の課題として、政策面でも介護職員の処遇改善が重点課題として取り組みが進んでいる。
今後の介護業界は「人材を増やす」だけでは追いつかず、ICT(情報通信技術)や介護ロボットの導入、介護技術の標準化、生産性向上が必須とされ、国もAI(人工知能)・ICT導入を重点政策として後押ししている。