■業界の概要
■市場の動向と展望
■化粧品・トイレタリー製造業の業績動向
■化粧品・トイレタリー卸売業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
化粧品業界は、スキンケア、メイクアップ、ヘアケア、フレグランス、ボディケア製品などを含む幅広い製品群を製造・販売する業界である。また主要プレイヤーである資生堂、コーセー、ポーラ・オルビスホールディングスなどは、戦後の国内化粧品業界をけん引し、歴史ある企業としても知られる。
近年では、インバウンドの増加とともに化粧品需要も増加、訪日客の「爆買い」が話題となった。2020年には新型コロナのパンデミックによるインバウンド消滅や外出規制の影響で需要が大幅に減少したが、その後は訪日客が過去最多を次々に更新、インバウンド需要の回復などが後押しとなり、化粧品市場も回復傾向となっている。
トイレタリー業界は、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、紙おむつ、サニタリー用品、歯磨き粉、洗剤、シャンプー、コンディショナー、石鹸などの日常生活で使用される消耗品を製造・販売する業界である。
安定的な市場動向が続く中、コロナ禍では感染拡大防止ニーズから衛生商品を中心とした特需が見られた。その後、市場は落ち着きを見せたが、コロナ禍での衛生習慣は継続しており、外出にともなうケア商品の需要も回復している。
化粧品・トイレタリーともに、消費者ニーズは多様化しており、業界各社は高品質な高価帯商品、手軽な低価格帯商品、男性専用商品、自然・天然由来商品、エコフレンドリー商品など、幅広い価格帯や商品のラインナップを拡大させている。一方で、100円ショップやコンビニ、大手小売企業などの異業種参入による競争は激化し、大手化粧品メーカーが中価格帯から撤退する動きも見られた。
加えて、人口減少や円安による原材料価格の高騰などもあり、国内市場は縮小傾向が予想される。
そのような中、脱炭素ニーズの高まりによるサステナブル商品の開発、海外市場の強化、越境ECサイト やオンライン販売の拡大、AIによる顧客分析、バーチャルメイクアップ試用などによる販売機会の拡充など、成長に向けた新しいビジネスモデルの構築が図られる。