■業界の概要
■市場の動向と展望
■自動車製造業の業績動向
■自動車販売業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
■関連コンテンツ
日本の自動車業界は、完成車メーカー14社(二輪含む)と、それを支える部品メーカー数千社から構成される。そのすそ野は極めて広範であり、日本の経済成長や雇用に大きく影響する基幹産業となっている。
中心となるのは乗用車、商用車、特殊車両などの「完成車」を製造・販売する企業であるが、これに加えて、部品・素材供給、車体製造、販売ディーラー、整備・修理、金融(自動車ローン・リース)など多様な関連産業が連関して業界を形成している。
ピラミッド型の階層構造が特徴であり、頂点にトヨタ自動車や日産自動車、本田技研工業などの完成車メーカーが位置し、それをTier1(一次請け)、Tier2(二次請け)と続く部品・素材メーカー群が支えている。日本ではこのような垂直統合型の系列構造が長年維持されてきたが、近年はグローバル競争やコスト圧力、モジュール化の進展に伴い、系列を越えた取引や共通部品の採用が進んでいる。
製品分類としては、ガソリン車やディーゼル車などの内燃機関車(ICE)に加え、ハイブリッド車(HV)、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)などの電動車が含まれる。
日本はHV技術において世界をリードしているが、EV普及に関しては欧米中に比してやや遅れを取っており、今後の対応が注目される。
自動車業界は、CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)をキーワードとする大きな変革期に突入している。
「Connected(ネット接続)」により、車両情報の収集・分析が即時に行えるようになる。この情報はナビゲーションシステムの最適化、交通状況のリアルタイム更新、リモート診断などに活用され、交通の効率化や安全性の向上に貢献する。このような車両の情報化に向けて、自動車メーカーとIT企業との連携が進んでいる。
「Autonomous(自動化)」では、車両に搭載されたカメラやセンサーが周囲の交通状況や道路情報を把握し、安全かつ効率的な走行をサポートする。高度な自動運転技術は、「Connected」で収集された情報も活用することで、車両が自律的に動くことを可能にする。
「Shared(共有)」では、カーシェアリングやライドシェアリングサービスなどによる車両の共同利用が進んでおり、自動車メーカーも従来の製造優位モデルから、サービスと技術を融合した新たな競争力の構築が求められている。
「Electric(電動化)」は、環境負荷低減の有力な手段の一つであるが、現状のEVは価格面や航続距離の短さ、充電時間の長さ、充電インフラの未整備など、本格普及に向けて多くの課題を抱えている。その解決に向け、各社はバッテリー技術の革新や充電インフラの整備を進めている。
「CASE」の各要素は単独で機能するだけでなく、相互に影響し合いながら、自動車産業各社の今後を方向付ける。その取り組み成果が、メーカー各社の今後の競争優位を左右する。