■業界の概要
■市場の動向と展望
■ホームセンターの業績動向
■関連法規・団体
■業界天気図
ホームセンターとは、日用品や住宅改修、DIY(Do It Yourself)に必要な資材、園芸用品などを提供する小売店を指す。
ホームセンター業界は、消費者のライフスタイルや需要の変化に対応しながら、各社の出店拡大や取扱商品を増やすことで成長してきた。DIY用品や建築資材、園芸用品、家庭日用品、ペット関連商品など、多種多様な商品を取り揃えるため、売場面積は3,000~1万平方メートル程度と大きく、都心部よりも郊外に多く出店している。単なる物販にとどまらず、リフォーム相談や工具レンタル、ペットトリミングなどのサービスを併設する店舗も増加している。
日本DIY・ホームセンター協会によると、店舗数は1973年以降ほぼ一貫して増加、2024年度末の店舗数は前年度末より50店舗増え、5,020店舗と5,000店舗を超えた。
経済産業省の「商業動態統計調査」によると、2024年度の店舗数は52店舗増え、4,536店舗だった。しかし近年は市場の成熟化にともない年間総売上高は横ばい傾向で推移。ホームセンター販売額はコロナ禍での巣ごもり消費を追い風に急増した2020年度の3兆5,211億円をピークに頭打ちとなっており、物価高が個人消費を抑制する中、競争が激化している。
各社は積極的な新規出店や既存店改装などでさらなる拡大を目指してきたものの、近年は店舗数が多すぎるオーバーストア化やディスカウントストアなどの異業種との競合により、市場全体の成長が頭打ちとなっていた。
そのため各社は新規出店を抑え、プライベートブランド(以下、PB)商品の開発強化、オンラインでの販売強化、プロ向け事業の強化などで収益の確保を目指すとともに、M&Aを活用した業界再編や新規事業への進出などに焦点をあてる動きが目立っている。
2021年1月にはニトリホールディングスが島忠を完全子会社化し、2022年3月にはカインズが東急ハンズ(現:ハンズ)を完全子会社化した。
直近では、DCMホールディングスが、2023年11月にケーヨー(千葉県)を連結子会社化し、2024年1月には完全子会社化。その後、同年9月にグループ内の事業会社であるDCM(東京・品川)がケーヨーを吸収合併し、全国の「ケーヨーデイツー」の店舗名を「 DCM 」に統一した。
またDCMホールディングスはグループ再編も進めている。 2021 年3月には傘下のホームセンター事業会社5社を統合し、事業運営を担う新会社としてDCMを設立。これにともない、DCMホールディングスが持っていた商品企画や管理などの機能を新会社DCMに移管した。商品の企画から販売、人材募集までをDCMが一元的に管理することで、グループ全体としての管理費軽減や業務効率化を図っている。
2023年6月にはコーナン商事がホームインプルーブメントひろせ(HIひろせ)を完全子会社化した。ホームセンターと食品スーパーの併設店「スーパーコンボ」を九州で運営するHIひろせを傘下に収め、九州エリア強化と食品スーパー事業への進出を進めた。
成熟市場であるホームセンター業界では、PB商品の供給を軸とした業務提携や物流ネットワークの効率化および仕入れコスト削減による経営効率化を図るとともに、リフォーム事業やEC事業との連携による新収益源の確保などを目的とした再編が加速している。今後も再編を通じて上位寡占が進み、寡占化と淘汰が一層進むと予想される。