TDB REPORT ONLINE

ドラッグストア・調剤薬局業界の動向と展望

(2025/11/28更新)

【目次】

■業界の概要
■市場の動向と展望
■ドラッグストアの業績動向
■調剤薬局の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
■関連コンテンツ

■業界の概要

ドラッグストアは調剤・食品分野の伸長が成長をけん引、出店攻勢続く

ドラッグストアの2024年度の市場規模は、前年度比9.0%増の10兆307億円(推定値、日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)調べ)となり、初めて10兆円台を突破した。これは百貨店(約6兆3,227億円)を上回り、コンビニ(約12兆8,887億円)に迫る規模で、ドラッグストアは生活に欠かせない存在となっている。

OTC医薬品(一般用医薬品、要指導医薬品)や化粧品、日用雑貨に加えて、近年は調剤分野への積極的な取り組みから同分野の伸長がけん引役となっている。さらに各社は食品類の取り扱いにも注力しており、両部門の伸長が近年のドラッグストア業界の成長を支えている。また、都市圏では、インバウンド需要の増加も追い風となっている。

新規出店や既存店のリニューアルも活発で、国内店舗数は増加傾向が続いており、日本チェーンドラッグストア協会では、2030年に3.5万店、市場規模13兆円の目標を掲げる。

また、大手チェーンは新たな収益源を求めてASEANを中心としたアジア圏への進出を進めている。

調剤薬局は業務拡充、対人業務を重視へ

厚生労働省の「衛生行政報告例」によると、全国の薬局数は63,203施設(2024年度末時点)、前年度比0.6%増と微増ながら、増加傾向が続いている。病院に近接する「門前薬局」のほか、近年は利便性を重視した駅や住宅地近くにある「面対応薬局」が増加している。

都道府県別で見ると、前年度比で増加したのは29都府県、減少は18道県だった。人口10万人あたりの薬局数は 51.1 で、都道府県別にみると佐賀県が 65.1 と最も多く、次いで高知県が 61.0、山口県が 60.8 だった。一方、最も少ないのは沖縄県で39.4 、次いで千葉県が 42.9、埼玉県が 44.2 だった。

調剤薬局の経営は、国の診療報酬改定(調剤、薬価)の影響を受ける。国は少子高齢化を背景に在宅ケアを支援する地域包括ケアシステムの拡充を進めており、その一環として「かかりつけ薬剤師、かかりつけ薬局」を推進している。高齢化の進展にともない在宅医療への対応が急務となり、薬剤師の訪問業務や他の医療機関と連携して患者をサポートする「地域連携薬局」の役割が拡大している。そのため、調剤に特化していた「対物」の枠組みから、服薬指導や調剤後のフォローなど「対人」業務に拡充する動きが進んでいる。

また、国はジェネリック医薬品(後発医薬品)の使用割合について、全ての都道府県で80%以上(数量ベース)とする従来の目標を2029年度末まで継続する。また2024年3月には、2029年度末までに金額ベースで65%以上とする新たな副次目標を公表した。調剤薬局は、その実現に向けた推進役を担う。

この続きを読むには会員ログインが必要です。
ログイン