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ソフトウェア業界の動向と展望

(2025/11/28更新)

【目次】

■業界の概要
■市場の動向と展望
■ソフトウェア受託開発業の業績動向
■パッケージソフトウェア開発業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
■関連コンテンツ

■業界の概要

ソフトウェア受託開発は、ピラミッド型の多重請負構造を形成

ソフトウェア受託開発業は、個々の顧客の要望に合わせて情報システムやソフトウェアの開発を行う。システム全体の設計から運用、保守までを一貫して行う業態は「SIer(システム・インテグレーター)」と呼ばれる。

参入企業は設立経緯によって、メーカー系(コンピューターメーカーから派生)・ユーザー系(一般企業のシステム部門から派生)・独立系の3つに大別される。

業界構造は、業務を受注した大手企業(元請け)から一次請け、二次請けへと仕事が流れていく、ピラミッド型の多重請負構造となっている。しかし近年は、コスト削減や開発スピード短縮などを目的に、発注側企業が中小ソフトウェア企業と直接契約するケースも徐々に増え始めている。

パッケージソフトウェアは、サブスク型への移行が進む

パッケージソフトウェア開発業は、不特定多数のユーザー向けの、汎用ソフトウェアの開発・販売を行う。企業向けには会計、生産管理、営業管理、在庫管理など業務ごとの専用ソフトウェアがあるほか、これらを統合し一元管理する、ERP(企業資源統合)ソフトウェアを利用する企業のすそ野も拡大している。

パッケージソフトウェアの販売方法は、クラウド上でソフトウェア機能を提供するSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)方式による、サブスクリプション(定額課金)型への移行が進んでいる。

サブスクリプション型のビジネスモデルは、継続して安定的な収益を得られやすい利点がある一方、顧客満足度維持のために早いサイクルでのサービス改善が求められる。

DXの潮流が市場を拡大

経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」にて、デジタル化が遅れれば2025年以降に最大で年12兆円の経済損失が発生するという、いわゆる「2025年の崖」に対する警鐘が鳴らされた。これをきっかけに、世界的に後れを取っていた日本の企業・自治体のDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速した。

DXとは単なるデジタル化ではなく、デジタル技術を活用した組織の変革を指し、ITは単なる業務効率化手段ではなく事業変革の中核と位置づけられるようになった。そうしたニーズに対応するため、大手企業はソフトウェア・システム開発だけでなく、デジタルを活用した経営戦略や組織改革の支援を行うコンサルディング領域へ進出する動きを加速している。

生成AIの影響

生成AIの進化は、日本のソフトウェア産業において、開発工程と製品機能の両面で革新をもたらしている。

まず、生成AIをソフトウェア開発に活用する企業が増えている。ガートナーが2025年7月に国内でソフトウェア開発に従事者400人に対し行った調査によると、AIの利用比率は「コード生成・補完」で49.0%、「コード・レビュー」で40.0%、「要件定義」で39.8%となっており、ソフトウェア開発のあらゆる工程・用途においてAIの活用が急速に進んでいる。

ソフトウェア製品へのAI機能導入も進んでいる。例えば会計ソフトには、紙書類のデータ読み取り、自動仕訳、自然言語入力によるレポート自動生成機能などにAIが活用されている。営業・マーケティング支援ソフトでは、顧客データをAIが分析し、ターゲティング精度の向上やパーソナライズされた営業活動を支援する機能、生産管理ソフトでは、AIによる需要予測に基づき生産計画を最適化する機能などが登場している。

また、特定の目的やタスクを自律的に実行する人工知能システムである「AIエージェント」の商用化も本格化しつつあり、AIエージェントを活用した付加価値サービスを提供できるかどうかも、ソフトウェアベンダーの競争力を左右しそうだ。

デジタル人材の育成が課題に

ソフトウェア業界側、顧客側の双方においてデジタル人材の不足が顕著になっており、DX推進における大きな課題となっている。

DXや生成AIがブームとなる一方、これを支えるデジタル人材の不足が顕著になっている。ソフトウェア開発は専門的な知識やスキルを必要とし、またそれらは移り変わりが早く陳腐化しやすい。そのため人材育成にも時間や労力がかかる。

帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2025年10月)」によると、「情報サービス」業において正社員が不足していると回答した企業の割合は67.7%。「全業種」の51.6%大幅に上回り、人手不足による工期遅れが問題化している建設(70.2%)に続いて2番目に多かった。

デジタル人材の育成は、国のDX戦略推進においても大きな課題となっており、様々な施策が行われている。政府は「デジタル人材の育成・確保」策として、専門的なデジタル知識・能力を有し、デジタル実装による地域の課題解決をけん引する人材を、2026年度までに230万人育成するとしている。

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