■業界の概要
■市場の動向と展望
■ファストフード、カフェの業績動向
■ファミリーレストランの業績動向
■居酒屋チェーン、ビアレストランの業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
■関連コンテンツ
外食業とは家庭外で食事を提供する事業者の総称で、単身世帯や女性の雇用増加といった社会情勢の変化により食の多様化や外部化が進む中で成長してきた。
事業者は提供形態によりいくつかの業態に分類される。ファストフードは短時間提供と低価格を特徴とし、標準化されたメニューでテイクアウトにも対応する。代表例はハンバーガー、丼、麺類などである。ファミリーレストランは幅広い層を対象にテーブルサービスを行い、洋食、和食、中華、焼肉など多様な料理を提供する。パブレストラン・居酒屋は酒類中心で夜間営業が主体であり、飲食と交流の場として利用される。
外食業界は個人経営が総事業所数の6割程度を占める。資本金の額で見ても、1,000万円未満が約8割を占め、中小・零細の事業者が多い。約400万人の雇用機会を創出しており、雇用者に占めるパートやアルバイトの割合が8割弱となっている。
新型コロナウイルス感染症の影響によって、2020年以降の市場規模は大幅に減少していたものの、2022年を境に回復傾向にある。日本フードサービス協会によると、2024年の全店売上高はは、前年比8.4%増となった。多くの業態でコロナ禍からの回復傾向がみられる中、価格改定による客単価の上昇もあり、3年連続で売り上げは前年を上回った。
人手不足とコスト上昇が、外食業界にとって大きな課題となっている。
少子高齢化とサービス業の労働環境の厳しさによる慢性的な人手不足と人材定着率の低さが課題となっている。有効求人倍率は全産業平均に比べて高く、外食業界を含む「宿泊業、飲食サービス業」の欠員率は4.4%で、全産業の約1.5倍の水準にある。
また、コスト上昇も課題となっている。人手不足および最低賃金の引き上げによる人件費高騰、円安や国際的な原材料価格の高騰による食材コストの上昇、燃料価格の上昇や配送人員不足による物流費の増加などが、業界全体に構造的な収益圧迫をもたらしている。
日本の外食産業は、国内市場の成熟化と人口減少を背景に、海外展開を成長戦略の柱として位置付けている。これには、2013年に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことで、日本食のブランド価値が高まっていることも追い風となっている。アジアを中心とした新興国市場は経済成長と日本食ブームにより高い潜在需要を持ち、寿司、ラーメン、居酒屋などが高い支持を得ている。加えて北米や欧州では、健康志向やサステナブル食材への対応を重視した和食レストランも増加している。
また、増加する訪日外国人旅行者の取り込みも、重要な成長機会となっている。インバウンドによる食関連消費額は2024年に2兆3,346億円で過去最高となり、国はこれを2030年に4.5兆円に拡大させることを目標としている。その達成に向けて、業界では多言語対応、キャッシュレス決済の普及、ハラールやベジタリアンなど多様な食習慣への柔軟な対応などがカギとなる。