■業界の概要
■市場の動向と展望
■旅行業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
■関連コンテンツ
旅行業者は、ホテルや交通手段、観光チケットなどを組み合わせて旅行商品を提供する事業者であり、募集型企画旅行(パッケージツアー)、受注型企画旅行、手配旅行といった商品を扱う。もともとは宿泊施設や交通機関の代理販売から始まったが、1970年代以降は自社企画ツアーに注力し、1980年代には海外旅行需要の拡大を背景に、法人出張や団体旅行も含む総合旅行会社として発展してきた。
近年は、スマートフォンの普及や個人旅行需要の拡大により、インターネット上で旅行商品を予約・販売するOTA(Online Travel Agency)が急成長している。航空券やホテル、ツアー、レンタカーを一括して検索・比較・予約できる利便性が特徴で、利用者は時間や場所を問わず最適なプランを選択できる。
しかし利便性が高い一方で、予約内容の不一致やダブルブッキング、キャンセル・返金手続きの遅延などのトラブルも発生している。さらに海外OTAでは日本語対応やカスタマーサポートが不十分な場合があり、こうした課題への対応力がOTAの信頼性や今後の成長に大きく影響すると考えられる。
旅行業者は旅行業法が定める業態によって、第1~3種旅行業者・地域限定旅行業者の4つに分類される。このほか、「旅行業者代理業」や「旅行サービス手配業」がある。
観光庁によると、2025年4月1日時点の旅行業者総数は前年比5.8%増の1万3,377社。営業資格別に見ると、第1~3種旅行業8,890社(同0.5%増)、着地型観光の販売を想定した地域限定旅行業者は784社(同14.1%増)、主に海外の旅行会社からの訪日旅行の手配を受ける旅行サービス手配業は3,243社(同23.9%増)と増加した。一方で、旅行業者から委託を受けて旅行商品を販売する旅行業者代理業は460社(同6.5%減)と減少した。
コロナ禍を経て、個人旅行の増加や旅行目的の多様化を背景に、各社は価格競争から脱却し、付加価値の高い体験型商品や独自性のある企画開発に注力している。