■業界の概要
■市場の動向と展望
■結婚式場業、葬儀業、冠婚葬祭互助会の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
結婚式場業は、結婚式および披露宴を実施するための施設やサービスを提供する。関連するサービスとして、婚礼衣装のレンタル、写真撮影、ビデオ撮影、フラワーアレンジメントなどの多層的なバリューチェーンで構成されている。
戦後の高度経済成長期には、挙式から披露宴までを一体提供する「専門式場」が全国で整備され、婚礼が本格的なサービス産業として確立された。1970~80年代には「派手婚」に象徴される披露宴が市場拡大を後押しした。
1990年代後半には、欧州の邸宅を模した「ゲストハウスウェディング」が登場した。2000年代以降は、ハウスウェディングの台頭により演出の自由度が高まった一方で、少子高齢化や「地味婚」「ナシ婚」層の増加により、市場は停滞期に入った。
その後、コロナ禍による「外出自粛」や「3密回避」から式の延期や中止が相次ぎ、渡航制限による海外挙式も消失したことから、業界は大きな打撃を受けた。
コロナの収束後、結婚式場の取扱い件数は回復しているものの、ライフスタイルの変化や少子化による婚礼数の減少、挙式スタイルの簡素化などにより市場全体は縮小傾向にある。一方で、画一的な披露宴から多様化するニーズに対応したサービス展開が進んでおり、訪日外国人や海外市場を対象としたリゾート・和婚などが成長分野として注目されている。
葬儀業は、故人の葬儀や法要を執り行うためのサービスを提供する。関連するサービスとして、祭壇の設営、供花の手配、香典返しの手配などが含まれる。葬儀形式には、一般葬、家族葬、一日葬、直葬などがある。
業界は、かつて主流であった自宅葬が都市化や核家族化により困難となり、民間の「専門葬儀社」や「互助会」が提供する斎場利用が一般化したことに始まる。
1990年代にはバブル経済の影響もあり、豪華な祭壇や大勢の会葬者による「一般葬」が主流であった。しかし2000年代以降は、地縁の希薄化などにより、親族のみで営む「家族葬」や儀礼を簡略化する「直葬(火葬式)」や「一日葬」が定着。儀礼の簡素化により単価が急落した。
国内では高齢化社会による需要が見込まれるため、葬儀需要自体は中期的には安定している。その一方で、コロナ禍をきっかけとした価値観の変化により、葬儀形式は低価格型と高付加価値型の二極化が進んでいる。今後は各社による差別化戦略の進展が業界を下支えすると見られる。