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放送業界の動向と展望

(2025/12/30更新)

【目次】

■業界の概要
■市場の動向と展望
■地上波テレビ放送業の業績動向
■衛星放送業、CATV業、ラジオ放送業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図

■業界の概要

放送業界の構造と各媒体の特徴

放送業界は、テレビ、ラジオ、インターネット配信などのメディアを通じて、広範な視聴者に情報やエンタテインメントを提供している。公共性が高いことから、放送法や電波法などの規制に基づく許認可事業として、総務省の監督のもとで運営されている。放送技術はアナログからデジタルへ進化しており、ハイビジョン・4K・8Kなどの高画質化やインタラクティブ化が進んでいる。

地上波放送は、無線通信を用いて放送局から一般家庭の受信機へ直接電波を送信する放送方式である。民間放送は主に広告収入を財源として運営されており、受信者は原則として無料で視聴・聴取ができる。広域性と同時性に優れ、基幹メディアとして長年機能してきた。

衛星放送は、広範囲にわたる送信能力や多チャンネル放送、高画質・高音質を特徴とし、スポーツ中継や音楽ライブ、映画、ドキュメンタリーなど専門性の高いコンテンツを提供する。ケーブルテレビは、光ファイバーや同軸ケーブルを利用して、多チャンネル放送のほか、インターネット接続やIP電話などの通信サービスも提供する。いずれも収益は主に視聴者からの加入料や月額視聴料に支えられており、広告収入は補助的な位置づけにとどまる。

テレビ広告は伸び悩み、新しい収益モデルを模索

若年層を中心にテレビ視聴時間が大幅に減少しているほか、広告主がテレビ広告からデジタル広告にシフトする傾向もあり、テレビ広告収入は頭打ちとなっている。

そのため各社は新しい収益モデルを模索している。インフルエンサーとの連携やSNSとの連動型広告といった新たな広告手法への取り組みを進めるとともに、イベント開催やアニメ・ドラマによるIPコンテンツの開発といった、放送以外の事業収入拡大も進めている。

動画配信とのコンテンツ競争激化、動画視聴のパーソナライズ化が進行

インターネットの普及によりコンテンツが国境を越えて配信されるようになり、国際的な競争が激化している。ストリーミングサービスの台頭により、Netflix(米)、Amazon Prime Video(米)、Disney+(米)、DAZN(英)などのインターネット経由のOTT(Over The Top)サービスが急速に普及し、テレビ放送視聴からオンデマンド視聴への移行が進んでいる。各配信サービスが制作するドラマなどの独自のオリジナル作品も人気が高い。

こうしたストリーミングサービスやYouTube、TikTokなどのネット動画サービスを含め、動画配信市場の競争が激化する中、既存の放送局も自社の配信プラットフォームを強化する動きが見られる。「NHK ONE」や民放公式テレビポータル「TVer」、AbemaTVなどのストリーミングサービスが人気を集めている。

コンテンツ拡大とともに視聴者のニーズは多様化しており、視聴者の満足度向上のため、視聴履歴に基づくレコメンド機能が強化され、視聴履歴や趣味嗜好に基づいたコンテンツの提案がされるようになっている。また、広告もターゲット層に合わせた個別化が進む。

技術面では、高速通信技術(5G)の普及により、リアルタイム配信や高画質のライブ配信が可能になっており、インターネットやモバイルデバイスを活用した新しい視聴形態が定着している。従来の放送スタイルを維持しつつ、ストリーミングサービスやデジタル技術との融合がいっそう重要となっている。

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