TDB REPORT ONLINE

製造業や建設業といった従来地域を支えてきた産業の事業環境が変化するなか、地域の特性や強みを活かした産業分野を育成し、需要を域内に取り込むことで地域経済の活性化につなげようという新たな動きが登場している。

そうした自治体や支援機関、企業など各プレーヤーの取り組みを支援する枠組みとして、2017年7月に「地域未来投資促進法」が施行された。同法を通じ地域経済の活性化に取り組む、経済産業省 地域未来投資促進室長の田岡 卓晃氏にその動向を伺った。

田岡氏写真(トリミング).jpg


年間の出生数(2016年)が、統計開始以来、初めて100万人を割り込むなど、2017年は「人口減少」に対する関心が一層高まりました

今、日本では人口の減少が進んでいます。人口を維持するためには合計特殊出生率を2.07にすることが必要とされていますが、近年は、約1.4~1.5で推移し、少子高齢化の加速にもつながっています(図1)。これにともない労働の担い手となる生産年齢人口※が減少するなど、日本経済に大きな影響を与えるものとなっています。

1-2_図1(インタビュー①).JPG

私は、2016年春までの約3年半、福井県庁で勤務していました。地元の新聞には地域の人口減少に関する記事が数多く取り上げられるとともに、少子化の影響により地元の高校などの統廃合も目の当たりにし、また東京や京都、大阪の大学に進学した学生が就職で地元に戻って来ないなど、肌でも地域の人口減少を感じていました。

※ 年齢別人口のうち労働力の中核をなす15歳以上65歳未満の人口層

そうした人口減少は日本経済と国内企業にどのような影響を与えていますか

海外に目を向けると、中国をはじめとした新興国の製造業の躍進により、日本の製造業の競争力が相対的に弱体化してきていると指摘されています。為替の変動やエネルギー問題、環境対応、対外経済連携の進捗など、日本の企業を取り巻く事業環境は、大きく変化しています。

これまで地域において、多くの雇用をつくり出していた製造業は、90年代以降、競争力を高めるための生産拠点の海外への移転、業績不振による工場閉鎖などで雇用を減少してきました。また地方におけるサービス産業の多くは、商店、飲食店など地域内の住民を顧客とする産業であり、地方の人口減少は、そのまま産業へのダメージとなっています。

この続きを読むには会員ログインが必要です。
ログイン

関連記事