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経済産業省は地域の特性を生かして高い付加価値を創出し、地域の経済成長を力強く牽引する企業や今後取り組まれることが期待される企業2,148社を「地域未来牽引企業」として2017年12月に初めて選定した。

その「地域未来牽引企業」に対して、経済産業局の地域未来コンシェルジュが海外展開支援やほかの企業とのマッチングなどを支援している。今回、地域未来コンシェルジュとして地域の企業を支援し、地域経済の振興や地域の中核を担う企業に精通している関東経済産業局の中村 文明氏、渡邉 勇大 氏、福島 典之 氏の3氏に中小企業が成長するためのポイントを聞いた。

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(左から)地域振興課 係長 中村 文明 氏 渡邉 勇大 氏 福島 典之 氏


まず、地域未来投資促進法についてお聞かせください

地域の特性を活用した事業の生み出す経済波及効果に着目し、地方公共団体の取り組みを支援するものとして、2017年7月に「地域未来投資促進法」が施行されました。

国の基本方針に基づき、全国の自治体(都道府県および市町村)が基本計画を策定します。国の同意が得られた各々の基本計画に基づいて、事業者が作成する地域経済牽引事業計画を都道府県知事が承認するという流れになります。承認された事業に対して政策資源を集中的に投入し、税制や金融による支援措置などを通して地域経済を牽引する事業者を育成する政策です。

「地域未来牽引企業」に選定されたからという理由で各種支援策が直ちに利用できるというものではありませんが、実際に選ばれた企業の中には選定されたことを誇りとして、選定証を企業の玄関に飾っていただいている企業もあります。また、中小企業では人手不足が深刻な課題となっていますが、新卒採用時のPR 活動に役立てている企業もあります。

税制の支援措置についてお聞かせください

地域経済牽引事業計画をもとに、事業者が行った設備投資を対象として、減税措置を講じます。

機械装置や器具備品に対して40%の特別償却もしくは4%の税額控除、建物では20%の特別償却もしくは2% の税額控除が適用されます。機械装置や器具備品を対象とした償却措置は従来の法制でも存在していましたが、建物を対象として追加した点が地域未来投資促進法のポイントといえます。

「生産性の向上」や「働き方改革」について中小企業の取り組み状況はいかがでしょうか

各社の取り組みにまだ温度差があると感じています。働き方改革の根底にあるのは人手不足の深刻化です。潜在労働力として期待される女性や高齢者、外国人労働者など多様な人材に視野を広げて、人材を確保する必要があります。

高齢者の採用では、時短勤務を取り入れるなど就労環境の改善に取り組んでいる企業のほか、製造業では外国人の採用を積極的に進めている状況もみられます。

その一方で、経営課題からアプローチすることで本当に自社で人材が必要なのか、どういった人材が必要なのか、機械化や省人化で代替できる部分はないかといった点を堀り下げていくことも必要です。

IoT などシステム化を通して省人化を積極的に推進し、生産性を向上させている企業が存在します。

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