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少子高齢化による労働人口の減少、長時間労働の是正といった労働環境の課題に対し、政府の旗振りのもと、多くの企業で「働き方改革」への取り組みが推進されている。時短勤務やテレワーク、フレックスタイム制などの柔軟な働き方は、ワークライフバランスの充実や、社員のやる気向上につながると期待されている。その半面、プライベートと仕事の線引きがあいまいになったり、対面でのコミュニケーションが減ることで、社員同士の信頼関係が希薄になるのではないか、という懸念も発生している。こうした懸念を解消し、社員が働きやすい職場を実現するのが、ビジネスチャットやテレビ会議といったビジネスICTツールである。

ここでは、日本におけるビジネスICTツールの導入・利用状況に加え、ビジネスチャットを提供し、企業のビジネススピード向上に貢献する企業へのインタビューを交えて、日本の新しい働き方について考察した。

日本のビジネスICTツールの導入・利用状況は低位

企業に求められるビジネススピードは、様々なビジネスICTツール(以下、ICTツール)の進化によって加速し、メールや電話、FAX が当たり前とされていた時代から大きく変化してきた。しかしながら、日本におけるICTツールの利用状況は低位にとどまっているのが現状だ。

総務省が2018年3月に発表した「ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究」によると、調査対象のすべてのICTツールで「職場に導入していない」との回答が最も多い(図1)。また、職場に導入はされているが、「あまり使っていない」「まったく使っていない」と回答した人の割合も、「積極的に使っている」より多いという結果となった(勤怠管理ツールを除く)。

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企業が様々なツールの導入・利用を進めようとする際には、コスト要因や社員がツールを使いこなせないなどの課題があり、ICTツールの導入に踏み込むことをためらう傾向にあると推測される。

しかし、ICTツールの導入・利用は、社内コミュニケーションを活性化させるだけでなく、業務の改善にも寄与する可能性がある。

次記事にて、ビジネスチャットなどのICTツールを提供する企業に、そのメリットや効果について聞いた。

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