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現在、NTT東日本グループは、光回線サービスに依存しない成長サービスや非通信分野への事業の多角化を推進している。その一環として「ひと、企業、まちの個性が生きて輝き、愛着を持てる世の中を創る」をビジョンに掲げ、DXコンサルティング分野で2022年1月に設立されたのが、株式会社NTT DXパートナー(東京都新宿区)である。

設立から1年と経たないものの、規模・地域などを問わず、多くの法人や、自治体などから引き合いを受け、得意先の数は既に50件以上。今後、ますます拡大していく予定だ。同社取締役の近藤俊輔氏と、マネージャーの片岡直之氏に、企業がDXを進めるうえでの課題や、障害となりがちなこと、また企業がDX に取り組むうえでのポイントなどについて聞いた。

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取締役の近藤俊輔氏(左)、マネージャーの片岡直之氏(右)

- 貴社のDX サービスについてお聞かせください

コンセプトとして「地域」ということを掲げており、そのコンセプトを大事にしながら、DX を通じて「地域」を盛り上げていこうと思っています。

当社の企業理念のビジョンは「ひと、企業、まちの個性が生きて輝き愛着を持てる世の中を創る」です。また、ミッションとして「ともに未来を描き・創り・歩む真のパートナーとして、

・地域社会の魅力を引き出す

・業界の変革を通じて、個性を持った企業成長を後押し」を掲げています。

事業の具体的内容は、地域の企業、大学、自治体のDX コンサルティングから実装までの支援です。コンサルティングの内容は、DX 等戦略の策定、新規事業開発支援、顧客価値・体験デザイン支援や、DX 人材の育成などになります。そして、それらをワンストップで共創・伴走することで、DXの実装・推進支援も行います。DXの実装とは、具体的にデジタルプラットフォーム/システムのデザイン策定、構築・運用や、データ利活用の伴奏支援などになります。

また、NTT 東日本グループやNTT 研究所などのビジネスパートナーが持つDX ノウハウや技術なども活かしながら、地域の活性化、社会課題解決に向けた、持続的な価値創造を目指すことを掲げています。

- 企業がDX を進めるうえでの課題はどんなことでしょうか

仕事柄、多くの企業の経営者の方とお話しをする機会がありますが、よく聞くのは「DXに興味はあるものの、何から手を付けていいのか分からない。そもそもDX は何か分からないし、誰に相談していいのか分からない」という声です。

中小企業のみならず、大きな企業や組織においても、そして従業員のみならず経営層においても「DX とは何なのか」というところから説明して欲しい、という声を多く頂いています。また、最近では、自治体や各企業において、DXを進めるための人材の部分に不安を感じており、人材を育てる研修の要望を数多く受けておりますので、様々な研修を実施させていただいています。

- そもそもDX が何なのかを理解されていない先が多いのですね

そうですね。しかし、企業様だけではなく、地域経済に根ざしている金融機関もDX の相談にはなかなか対応出来ていないのが現状です。そのため、金融機関向けのセミナーなども実施させていただいています。

DX の目的は「企業が持っている本来の価値をどのように高めていくか」ということですが、その手前の「業務のデジタル化」の段階で検討を留めてしまう方が多くいらっしゃいます。

よって、DX を推し進めていくためには改めてDX の定義を理解していただく試みが欠かせません。

- DX =デジタル化ではないのですね

DX の推進には大きく「デジタイゼーション」、「デジタライゼーション」、「デジタルトランスフォーメーション」という3つの段階があります。

最初の段階である「デジタイゼーション」とは、手書きしていた文書をエクセルなどのデジタルデータに移行することや、クラウドでデータを共有してオンラインで会議するなどの業務のデジタル化を指します。つまり、アナログ/物理データの単純なデジタル化です。

その次の段階の「デジタライゼーション」は、手作業でエクセルに入力していた業務を、RPAを活用して入力作業を自動化することや、見積書を印刷・押印・郵送を手作業でしていたものを、一括して電子請求化するなど、個別業務をデジタル化することを指します。

そして、「デジタルトランスフォーメーション」は、組織横断で業務全体をデジタル化し、顧客起点で製品やサービス、ビジネスモデルを変革していくこととなります。

「デジタライゼーション」を推し進めることで、業務の効率化を図り、空いた時間や人員を使って、ユニークで魅力的な体験・経験(価値)を顧客に与えられるような新サービスを構築したり、既存サービスを磨き上げたりすることによって企業価値が高まり、利益も増大するというパターンが、一番イメージしやすいかもしれません。

「デジタイゼーション」、「デジタライゼーション」、「デジタルトランスフォーメーション」の段階は、必ずしも順番に実施する必要はありません。

ただ、意識の高い経営者の企業や、比較的新しいことを意欲的に取り組む社風を持つ企業においても、「デジタイゼーション」、「デジタライゼーション」の実施で止まってしまっている企業が多いのが現状です。

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