世界を一変させた新型コロナウイルスは、突然の需要減や経済活動の制限という形で、企業活動に甚大な影響を与えた。
これにより資金繰りが悪化した企業に対しては、官民挙げての手厚い金融支援策が実施された。その効果は大きく、新型コロナ感染拡大期から緊急事態宣言下における倒産件数は過去に類を見ない低水準で推移した。
しかしコロナ渦に突入して3年、倒産動向は新たな展開を迎えようとしている。
コロナ禍で企業倒産はどのような変遷をたどったのか。コロナ禍における倒産の動向を振り返りながら、ポストコロナの見通しを考察した。
新型コロナウイルスが世界に蔓延する以前、倒産件数は増加トレンドになりつつあった。2019年度の倒産件数は8,480件と2年ぶりの増加に転じ、消費税率10%引き上げなどで小売業の倒産が増加、全体の倒産も増勢に向かうとみられていた。
こうしたなか、2020年に世界で新型コロナウイルスのパンデミックが始まった。日本国内では1月に最初の感染者が判明し、翌2月より国内でも感染が拡大。政府は4月に緊急事態宣言を発令した。
新型コロナによる外出制限で経済活動は急激に停滞、同年5月の倒産件数は集計開始後、過去最少規模の288件を記録した。6月以降は、滞留していた法的手続きが再開されたほか、急激な客足減少と営業時間短縮による飲食店の倒産が目立ち始めるなど、これまでの倒産増加トレンドに戻るかに思われた。
しかしその後、倒産は歴史的な低水準で推移することになる。