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本連載では、日本企業の進出先として想定される世界各国の政経情勢を取り上げる。第26回はインドを紹介する。インドの国内総生産は2024年時点で世界第5位だが、5年後の2029年にはドイツと日本を抜き世界3位に浮上する見通しである。人口はすでに中国を上回り世界最大で、軍事力も米国・ロシア・中国に続く世界4位である。名実ともに大国となったインドに死角はないのか。本稿ではインドの政経情勢と当面の課題を整理する。


■2024年夏の成長減速は一過性だったが、構造的な問題も浮き彫りに

インド経済は好調に推移している。2025年1~3月期のインドの実質GDP成長率は前年同期比+7.4%となり、昨年10~12月期の+6.4%から成長ペースが加速した。昨年7~9月期には5%台に成長ペースが鈍化したが、これは夏場の記録的な豪雨と、天候不順で不作となった野菜等の高騰によって個人消費が落ち込んだことが主因だった。加えて、昨年は総選挙が実施されたが、選挙期間中は国の政府支出が一時的に控えられるという、インド特有の事情も影響した模様である。

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