国内のオフィスは、時代によって形を変えてきたが、アフターコロナで人々の価値観が大きく変わり、近年ではオフィスの多様化が見られるようになっている。
かつて戦後から高度成長期にかけての国内オフィスは、「島型対向式」と呼ばれる複数名がグループ単位で向い合う配置が主流だった。その後、パソコンやコピー機が普及し始めたことで、作業能力が大幅にアップし、1980年代には固定席のない「フリーアドレス」も登場し、オフィスにも徐々に変化が見られ始めていく。
5年前の2020年初頭、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大し、3月に世界保健機関(WHO)が「パンデミック」を表明。国内では初めて緊急事態宣言が発令された。
感染拡大防止のため、対面や接触が避けられ、国内では在宅勤務やテレワークが急速に普及し、オフィスそのものの縮小や、感染対策をしたレイアウト変更を余儀なくされた。
在宅勤務やテレワークの普及により、働く側では、移動しなくても働けることや実際に会わなくても会議ができることで、時間の有効活用や効率化が可能となり、そのことが、オフィスのあり方に関するこれまでの常識を覆す大きなきっかけになったと言えるだろう。
また、人的資本経営に対する関心が高まる中で、企業側では、会社員の健康維持をしつつ生産性を向上させるための「オフィス」の役割や企業文化について再構築する動きが加速した。このような経緯から、オフィス空間設計の重要性が一段と高まっている中で、オフィス空間デザイン業界が注目されている。