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本連載では、日本企業の進出先として想定される世界各国の政経情勢を取り上げる。第28回はポーランドを紹介する。ポーランドの名目GDPは、EU加盟国ではオランダに次ぐ6位、東欧では最大の規模を誇る。他の欧州諸国が製造業の不振やトランプ関税による景気減速に直面するなかでも、ポーランド経済は足元まで堅調に推移してきている。一方、首相と大統領の支持政党が異なる「ねじれ」状態が続くなど、政治面では不安要素も存在する。以下では、ポーランド経済の好調の背景や政治情勢の現状を深堀する。


目次

■堅調なポーランド経済を支えるEU基金と個人消費
■課題はエネルギー問題と労働力不足
■「ねじれ」が続く内政と地政学リスクに晒される外政 
■ポーランドは親日国でもある 



■堅調なポーランド経済を支えるEU基金と個人消費

ポーランド経済は、2004年のEU加盟以降、安定した成長を続けてきた。2010年代には平均で年3.8%と、EU平均(1.6%)を大きく上回る経済成長を遂げた。コロナ禍を経てもその勢いは衰えず、2024年には前年比+2.9%と高めの成長率を記録した。

足元でも、他の欧州諸国が製造業の不振やトランプ関税による景気減速に直面するなか、ポーランド経済は堅調に推移してきている。欧州委員会による最新(2025年5月時点)の経済予測では、2025年に3.3%、2026年に3.0%という高い成長率が見込まれており、EU経済の牽引役として期待が高まっている。

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