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2020年代に入り、AI(人工知能)の応用領域が急速に拡大している。

2022年11月の「ChatGPT」登場に始まる生成AIブームにより、テキストや画像などのデジタルコンテンツを生成するAI用途が一般に普及した。そして現在、AIはロボット等の実機に統合されることで物理的な身体を獲得し、現実世界に直接作用する段階へと進みつつある。

この新たな潮流は、産業界では「フィジカルAI(Physical AI)」と呼ばれる。

フィジカルAIとは、高度なAIモデルをロボット、自動運転車、ドローン、産業機械といった物理的ハードウェアに統合し、現実世界の環境を認識・判断しながら自律的に行動するシステムを指す。これにより、物体を把持する、移動する、組み立てる、運搬するといった、人間が担ってきた身体労働の代替可能性が広がる。

日本にとって、この技術は大きな意味を持つ。

日本は長年にわたり、産業用ロボット分野で世界トップクラスのシェアを誇り、精密機械、モーター、センサー、制御技術といったハードウェア面で強みを蓄積してきた。一方で、社会は世界に先駆けて少子高齢化と生産年齢人口の減少に直面しており、物流、建設、製造、介護、インフラ保守といった分野では、人手不足が問題となっている。

とくに2024年以降、働き方改革関連法の本格適用にともなう労働時間規制、賃金上昇圧力、担い手不足が重なり、「人手を増やして解決する」という対応は限界を迎えた。こうした状況下で、フィジカルAIは単なる効率化手段ではなく、「人間の物理的労働力そのものを代替・補完する基盤技術」として期待されている。


【目次】

1.フィジカルAIとは
2.業界のなりたち
3.市場動向
4.主要プレイヤー
5.業界を取り巻く環境
6.業界の課題
7.今後の展望
8.関連組織


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