TDB REPORT ONLINE

名目成長率 2022年度+2.5%、2023年度+2.7%
実質成長率 2022年度+2.1%、2023年度+1.6%を予測

1.景気は2カ月連続で改善

企業の景況感について、2022年9月のTDB 景気動向指数(景気DI)は前月比0.5ポイント増の41.9となり、小幅ながら2カ月連続で改善した(図表1)。

図表1.jpg

9月の国内景気は、新型コロナウイルスの新規感染者数が小康状態となる一方、原材料価格高騰や円安傾向が続くなかで推移した。

プラス要因としては、物価高による10月以降の値上げを前に、一部で駆け込み需要が発生したこと、DX(デジタルトランスフォーメーション)需要が旺盛であったほか、徐々に人流が戻りつつある個人向けサービス業の景況感も上向いたことが挙げられる。他方、原材料の高騰や円安傾向が進み仕入れ価格が上昇、仕入単価DIは20業種で過去最高を更新した。これによる原材料や電力価格の上昇や食品を含む生活必需品の相次ぐ値上げに加え、人手不足の再燃や自動車メーカーの減産・生産停止などがマイナス要因となった。

業種別では、10月以降の値上げを前に『卸売』などで駆け込み需要がみられた。『サービス』は、「最悪期(2020年)との比較になるが、動員が戻ってきている」(遊園地)といった声もあり、「娯楽サービス」や「飲食店」など個人向けサービス業の景況感が回復。「情報サービス」は景気DI が51業種中最も高水準となった(図表2)。なかでも、新型コロナ禍において企業のIT化投資が活発だったこともあり、顧客の委託によりプログラムの作成などを行う“ ソフト受託開発” の景況感が高水準で推移した(景気DI:54.2)。

図表2.jpg

他方、「お盆の時期は市内で多くの観光客がみられたが、以降は平日を中心に弱い状況が続いている」(旅館)など、「旅館・ホテル」は2カ月ぶりに悪化。また、電力価格が上昇するなか「電気・ガス・水道・熱供給」の仕入単価 D(I 83.3)は、全51業種中最も高い水準となっている。

全体として国内景気は、原材料高などがマイナス要素となる一方、その製品価格への転嫁を見越した駆け込み需要が一部で発生したことから、小幅ながら2カ月連続で上向いた。

この続きを読むには会員ログインが必要です。
ログイン

関連記事