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■国内ブランドの価格高騰が顕著。価格差縮まり海外ブランドに「割安感」も

百貨店「松屋」が昨年12月に実施した調査では、回答が得られた459人のうち7割以上が今年のバレンタインで「節約を意識しない」と回答した。ただ、チョコの平均予算は「本命用」で1割以上増えたのに対し、近年需要が高まる「自分用」では逆に1割以上減少するなど、物価高でのメリハリ消費が鮮明となっている。

バレンタインチョコレートの平均価格は1粒当たり前年比4.5%の値上げと、6%を超えた昨年同様に値上げ傾向が続いた。ただ、高い値上げ水準が続く国内ブランドと、昨年に比べ小幅な値上げにとどまる海外ブランドで価格帯が接近し、高価格帯が多い海外ブランドで割安感も出そうだ。足元の円安や原料高は今後長期にわたってチョコ製品の価格設定に影響を及ぼすとみられ、3月のホワイトデー商戦などでも全体的に高値傾向が続くとみられる。

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■今年のバレンタインチョコ、平均価格は前年比4%値上げ。国内ブランド高騰、円安・カカオ高が影響

全国の大手百貨店やショッピングモール、ホテルなどが販売する計150ブランドのバレンタイン向けチョコレート(1粒バラ売りまたはアソートタイプ等)を調査した結果、2024年におけるチョコ1粒当たりの平均価格は395円(税込)だった。1年前の378円に比べて17円、率にして4.5%の値上がりとなったほか、2年前に比べると39円・11.0%の値上がりとなった。

このうち、国内ブランドは前年から17円・4.7%アップの377円、ハイブランド品が多いフランス産やベルギー産など海外(インポート)ブランドは14円・3.5%アップの409円だった。大幅な価格引き上げが目立った昨年に比べ、2024年の値上げ幅は小さいほか、特に海外ブランドでは1粒当たりの値上げが国内ブランドに比べて小幅だった。そのため、国内と海外ブランドチョコの平均価格も、24年は32円差と昨年(35円)に比べて3円縮小し、海外ブランドのチョコで相対的な割安感が強まる結果となった。

前年から価格が上昇したチョコを値上げ幅別にみると、最も多いのは「50円超」で、全体の約2割にあたる31ブランドとなった。昨シーズンから値上げを行ったブランドは計81に上り、前年(94)より1割超減少した。国内・海外ブランドともに半数超が昨シーズンから値上げした。


値上げの背景としては、主に原材料の調達コスト高騰が響いた。円安の影響に加え、主要生産国での輸出制限や天候不順による不作も重なり、カカオ豆の価格(推定)は昨年比で1.8倍に上昇した。砂糖や乳製品、チョコを包むアルミ箔やセロハン、箱などの包装資材、輸送費も大幅に値上がりしたことで、昨年に続き価格の引き上げに踏み切らざるを得なかったとみられる。

チョコの値上げが続くなかで「実質値上げ」の傾向も強まった。チョコ1粒あたりの価格を前年から値上げした81ブランドのうち、パッケージ容量が前年から「減少」したブランドは19に上った。こうした動きは国内外のブランドを問わずみられ、パッケージの総額では価格据え置きや値下げとしたものの、昨年から容量(個数)を減らし、1粒当たりの単価を引き上げたケースが多かった。

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