少子高齢化と若年層の高離職率が深刻化する日本。新規大卒就職者の3年以内の離職率は34.9%に達し、人手不足は企業経営の大きなリスクとなっている。そんな中、注目を集めているのが「健康経営優良法人認定制度」だ。経済産業省と日本健康会議(※)が2016年に創設したこの制度は、従業員の健康管理を経営戦略に位置づけ、持続可能な成長を目指す取り組みであり、大規模法人部門と中小規模法人部門に分けられている。
※ 日本健康会議:国民一人ひとりの健康寿命延伸と適正な医療について、経済団体、医療団体、保険者などの民間組織や自治体が連携し、行政の支援のもと実効的な活動を行うために組織された活動体
開始当初の「健康経営優良法人2017」では318法人だった中小規模法人の認定数は「健康経営優良法人2025」には19,796法人にまで増加した。「健康診断受診率の向上」「ストレスチェックの実施」「生活習慣病予防の支援」などを実施して優良法人に認定されることで、金融機関からの低利融資や自治体の入札加点のほか、採用競争力や企業ブランド力の向上につながるとして、多くの企業が関心を寄せている。
実際、2018年6月に「スマートワーク経営研究所」が公表した中間報告では、認定企業は売上高営業利益率(ROS)や総資産利益率(ROA)など、経営指標で未認定企業を上回る傾向が示唆されている。さらに、経済産業省の調査では、オフィス環境の整備や働き方がメンタルヘルスのような健康状態に影響し、最終的にはプレゼンティーイズム(体調不良による生産性損失)やアブセンティーイズム(健康問題による仕事の欠勤)の解消に結びつくなど、目に見える効果も確認されている。
また、離職率20%以下・長時間労働の抑制などを要件とする「ユースエール認定制度」との親和性も高く、両制度をあわせて取得する企業も増加している(ユースエール認定制度の記事はこちらからご覧いただけます)。若者が「働きたい」と感じる環境整備と、企業の経営力向上を同時に実現するこれらの取り組みは、今後の中小企業経営にとって大きな武器となるだろう。
そこで、「健康経営優良法人2025(中小規模法人部門)」に認定された19,796社のうち、帝国データバンクが保有する企業データベース「COSMOS2」(約 149万社)に登録がある企業、かつ2021年度から2024年度に優良法人に登録されていない3,800社を分析し、「健康経営優良法人(中小規模法人部門) 増収増益企業リスト」をアップした。
上記に掲載されていない、より詳細な企業情報は、別途有料にてご提供可能です。最寄りの帝国データバンク事業所までお問合せください。
■分析企業の条件
1.本社所在地の傾向
2.業種別の傾向
3.企業規模別の傾向
4.損益の傾向
5.業歴別の傾向
6.まとめ