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RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、主に、一定のルールのもと、従来のホワイトカラー業務を代行するソフトウェアロボットを指す。ソフトウェアロボットは24時間、365日休むことなく、ミスも起こさずに業務を行い、そのスピードも人間が行うのに比べ、劇的に向上する。さらに、実体を持たない仮想の存在であるため、人間のように会社を辞めるような事態も発生しない。このようなことから、人手不足問題が深刻化している国内において、RPAは企業規模を問わず注目を浴びている。

2018年度のIPO企業には、業務効率化支援を目的とした企業が多く含まれた。人手不足問題を受け、RPA技術を導入し始める企業、自治体が増加傾向にある。本節では、2019年の国内のRPA導入事例を解説するとともに、RPAを導入することによるイノベーション創出について考察する。

近年RPAを導入する企業が急増している

RPAは2018年以降、国内で急速に普及が進んでいる。図1は2019年以降に発表された企業や自治体のRPA導入やそのサポートの一部をまとめたものである。

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定型業務が比較的多いとされている自治体での導入が非常に多い。

神奈川県庁の例では、通勤手当の認定業務と災害時の職員の配備計画の作成業務をRPAが代行。両業務とも、業務時間の65%以上を削減した。また、熊本県天草市においては、公共料金関連業務で52.4%、健康診断関連業務で77.5%以上の時間削減を実現した。また、RPAが業務を代行することによって、精神的な負担も減少したとの声が上がった。

企業の例では、三井住友フィナンシャルグループがRPAを導入したことによる、事務作業の効率化が想定を上回ったため、中期経営計画で予定していた業務削減量を4,000人分から5,000人分弱に上積みすると発表した。

このように、RPAは全国で導入が進んでおり、人間を単純作業から解放する可能性を秘めている。

現在の事務仕事の多くは、システム間の連携が不可能であるがゆえに、システム同士の「つなぎ」を人間が行っている。もし、この「つなぎ」業務から人間が解放されるならば、人間ならではの直観力や創造力を用いたイノベーションを起こすことが可能となる。

次の記事ではRPAテクノロジーズ株式会社の代表取締役執行役員社長の大角 暢之氏にRPA市場の現状や今後の動向を聞いた。

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